第282話 (ぽよちゃん対)豪のゴドバ戦4

文字数 1,734文字



「アルテマハイテンションアターック!」

 赤いオーラに包まれて、ぼくは自分の何百倍も大きな魔物につっこんでいった。

 これで最後だ。
 四天王だからって、ノームの人たちをいじめさせないぞ。

 ぼくが体当たりすると、グラグラゆれていた巨人が森の木をよこだおしにして、地面に伏した。

「ヤッター! やったよ。たまりんさん!」
「スゴイ。ぽよちゃん、立派よ」
「えへへ」
「ぽよちゃん。強くなったね。おれも見習わなくちゃ」
「ぽよちゃん。あなたのおかげで勝てました」
「ピュイ〜。君たちもまあまあ働いたよ」

 ほめそやすアジやトーマスをねぎらっていたときだ。
 ゴドバの巨体は灰になった。
 変だなぁ。なんにもしてないのに、なんでだろ? 燃えたの? 火は怖いよね。野生のモンスターは火を見るのはキライ。あっ、ファイアーブレスは平気だけどね。

「ねえ、たまりんさん。あれ、灰になったよ?」
「そうね。それに戦闘音楽もやんでない……」

 なんだかイヤな感じ。
 かーくん。どうしよう。
 早く帰ってきてほしいな。
 ちょっと、さびしいよ。

 すると、見つめるぼくらの前で、灰のまんなかが盛りあがってきた。何かが灰の山を割って現れてくる。

「ああーッ!」
「なんてことだ」

 アジやトーマスがうろたえてる。ぼくも背中の毛が逆立ってしまった。こ、怖い。

 灰の山のなかから、ゴドバが現れた。それもさっきよりもっと大きい……。

「ふ、復活したのか?」
「コイツ、自動蘇生魔法がかかってたとか?」

 アジやトーマスの言葉を、たまりんさんが否定した。

「違う。蘇生魔法じゃない。これはフェニックスの特技よ。灰のなかからよみがえる」

 そうだ。たしかに前、かーくんといっしょに戦ったとき、フェニックスは自分の燃えつきた灰のなかからよみがえった。

「なんで、こいつがフェニックスの技を?」
「わからないわ。でも、HPがまた最大値まで戻ってる」

 一回、倒れたせいか、ぼくらのターンは終わってた。立ちあがったゴドバが大きな手をふりあげる。一回、二回、三回、四回! 四連打攻撃だ。

「キュイ! トーマス!」
「問題ない……だが、コイツ、数値がさっきより強くなってないか?」

 ぼくは急いで聞き耳してみた。たしかにそうだ。HPは真っ赤な8だけど、力が三万、体力が六万になってる。素早さや器用さは二万だ。

「だんだん強くなるんだ……」と、青ざめた顔で、アジがつぶやいた。
「こいつ、灰のなかから復活するたびに強くなるんだ!」

 そ、そんな! それじゃ、いったい、どうしたらいいの?
 かーくん。助けてー!

 ぼくは途方にくれて、巨人を見あげた。

 もう一回、これを倒せばいいのかな?
 でも、そしたら、またコイツは灰のなかから起きあがってくるよね?

 と、そのときだ。
 風の匂いが変わった。くんくん。この匂いは、あの人だ。あの人が来る!

 ふわりと風が吹いてきて、金色の人影が飛んできた。ぼくも小鳥師の技で飛ぶことがてきるようになったけどね。
 人間だ。かーくんが勝てない唯一の人が空を飛んでやってくる。

 その人はゴドバの背後に迫ると、剣をふりあおいだ。
 ぼくらの見てる前で、巨大なゴドバの首がななめにかたむき、コロンところげおちる。す、スゴイ。あのゴドバが一瞬で倒れた。

 その人はぼくらの目の前にとびおりてくる。

「よくもちこたえたな」
「ワレス隊長!」
「カッケぇー!」

 トーマスとアジがうるさいけど、この人が来たから、もう大丈夫だ——と、ぼくは思ったんだけど。

「安心するな。まだヤツを倒したわけじゃない。ゴドバは体の一部を切断されても死なない体になった。が、切断すると少しのあいだ、ヤツの動きを止めることができる。今のあいだに、ヤツの四肢をすべて切断し、別々に拘束する」
「キュイ?」
「なんでですか?」
「ヤツを倒すと灰のなかから復活する。そうさせないためには、倒さずに縛るか閉じこめるしかない」
「なるほど」

 うんうん。さすがは、かーくんの師匠。ぼくも師匠って呼ばせてもらお。

 さてと、じゃあ、バラバラにするぞ。
 あっ、あれ? い、いないよ?

「キュイ! ゴドバがいない!」

 ぼくらが一瞬、目を離したすきに、ゴドバは切りおとされた頭をかかえて飛びさっていた。

 以上、ぽよちゃんからでした。キュイ。
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