第197話 ラフランスさんが
文字数 1,338文字
モリーから、さらに五発ほどプチサンダーをくらって、どうにか充電量は55%まで戻った。宿舎に帰ってから、また書き変えるとして、とりあえず、久々のボイクドのギルドだ。楽しもう〜
「合成。合成。そのあと、魔法屋に行って、装飾品屋に行って、あっ! ゴールド会員限定の高級ショップにも行こう。カジノもあるけどね」
合成屋に行くと、ゴンドリヤさんがひたいから汗をたらし、ハアハア呼吸を荒げてた。どうも、すいません。ご老体にムチ打っちゃって。
「抽選会とかけ持ち、大変ですね」
「なんのことですじゃ? 合成ですな?」
なんでか知らないけど、絶対に同一人物と認めないんだよなぁ。
精霊のアミュレットを何個か作りなおしてもらって、合成屋をあとにする。
装飾品屋でいろいろ買ったけど、ここではとくに言及することはなかった。
さて、魔法屋だ。
「こんばんは〜」
ラフランスさんもボイクドに帰ってるのかな?
大会終わったばっかりだから、さすがにバイトはしてないか。
あれ? いる。いるぞ。
カウンターの奥で正装を解いた人嫌いが、ビクビクした目でこっちを見てる。
「こんばんは。ラフランスさん! 大会、おつかれさまでした〜」
「…………」
「ラフランスさん?」
なんだろうか?
僕らの顔を見て、肺ごと口から出てきそうな特大なため息を吐きだす。
「……しょうがない。決めた!」
「いや、あの、魔法書を見にきただけなんですけど」
「おれをあんたたちの仲間にしてください! もっと修行して強くなりたいんだ!」
「…………」
僕らは顔を見あわせる。
「いや、あの、人間嫌いですよね?」
「だから、人間は好きだ! アレルギーなだけ!」
「僕がそばによると、ジンマシンできるんでしょ?」
どうでもいいけど、カタカナで書くと、ジンマシンって、なんかの機械みたい。神マシンとかさ。微妙にカッコいいのは、なぜ?
「できる。できるけど、世界のどこかには、おれの知らない呪文が、もっともっとあるに違いない。それに知力もあげないとな」
「強くなって、どうするんですか?」
「人間アレルギーを治す魔法を調合するんだ!」
「…………」
なんか、ちょっと僕らとは旅の目的が違う気がした。
「どうする? あんなこと言ってるけど」
「僕らといると魔王軍や四天王と戦わないといけないんですよ? 危なくないですか?」
「でも、わはなんか、わかるわ。さみしいのに誰のそばにもよれんのは、かわいそうだない?」
「アイツにとっては切実な問題かもしれないぞ? かーくん」
まあ、そうかな。
それに魔法の腕前はたしかだ。戦闘でも活躍してくれるかも。
「じゃあ、ロラン。いいかな?」
「かまいませんよ。旅は多いほうが楽しいじゃないですか」
というわけで、ラフランスさんが仲間になった。
また男かぁ……。
なんで七人も人間がいて、みんな男なんだ? なんかの呪いにかかってる? 女の子と旅できませんの呪いとか?
「ありがとう! じゃあ、明日から、ブルーベリーにバイト代わってもらうよ」
えっ? ブルーベリーさん? あのクールビューティーなお姉さん?
そっか。これからは魔法屋に来ると、キレイなお姉さんに会えるのか。それはちょっと嬉しいな。
欲を言えば、ブルーベリーさんが仲間になってもらいたかったけどね。