第227話 まだまだ出る出る

文字数 1,768文字



 とは言え、まだレッドドラゴンは倒れたわけじゃない。

「次、おれ、やってもいいかな?」と、ラフランスさんが言うので、
「どうぞ」
「暴風雨〜!」

 あんたもかい!
 僕に買わせたやつね。
 知力一万はさすがによくきいた。威力高い。二万以上の大ダメージをあたえる。

「ああ、あとちょいなんだけどな。おれも素早さ、せめてあと五百あればなぁ」

 ああ、素早さ低いよね。
 はいはい。五百ね。オマケで千たしとくよ。

「次はトイか」

 トイは前衛に立ったとたん、子白虎になった。職業子白虎をマスターしてるので、ターン始めに自動で変化するようだ。

「子白虎なら戦えるね」
「ミャー!」

 数値は加算したし、職業もいろいろ覚えさせた。そろそろ使える子になってるはず。

「ミャー」

 あっ! アクビした……。
 えっと……気まぐれか! 特技の気まぐれのなかの一つだね。毛づくろいは幸運数値をあげたよね。アクビはなんの効果? とくに何もなさそうだ。

「アクビはハズレか!」
「ミャー」
「また気まぐれ! どんだけ気まぐれ?」
「しょうがないよ。かーくん。猫だから」
「うう」

 そう。猫は気まぐれなもんだ。それにしても、大事なときにアクビとか毛づくろいばっかされたら負けちゃうなぁ。

 と思った瞬間、トイは大ジャンプして、レッドドラゴンの胸に蹴りを入れた。ネコキックだ! すごい効いてる!

 チャララッチャチャ〜
 あ、勝てた。

「勝てたけど、ネコりんは気まぐれが問題だねぇ」
「猫鈴あったろ。たくさんつけると、いい行動が出やすいって」

 さすがは猛。ちゃんと覚えてる。

「あったね。帰ったら合成屋でアミュレットに合成してもらおう」

 その後も次々と強い魂が出てくる。仕立て屋とか、大弓使いとか、ブラックドラゴンとか、ホワイトドラゴンとか、めずらしい職業の魂がたくさん手に入った。

「このへんの魂なら、なんとか1ターンで勝てるね。長くても2ターン」
「兄ちゃん、そろそろ腹減ったよ。いったん帰らないか?」
「そうだね。職業もおぼえたし」
「帰って転職するか」

 前のままの僕らだったら、決して楽勝ではなかったけど、今ならすんなり倒せる。これなら最奥の魂も問題ないかなぁ?

 ヤマトの街へ行き、ケンテッキーフライドキッチンで昼ごはん。キッチンを揚げたらそうとう怖いけど、ちゃんと出てくるのはチキンだ。ヤマトは外食産業が盛んでありがたいね。

「やっと僕、嫌われ者だ。これマスターしたら、持たざる者になれるよ」
「かーくん、兄ちゃんにホワイトドラゴンのツボくれ。くれくれ。フェニックスはもうマスターしてるから、あと二つ聖獣系マスターしたら、天使になれるんだ。死神騎士、竜王、天使で魔神になれる」
「しょうがないな。はい」

 僕もほんとはレッドドラゴンとか早くおぼえたいんだけど、なかなかそこまでやってるヒマがない。

 チキンにかぶりついたあと、転職して午後戦に突入。
 午後は力試しに一人ずつで戦ってみた。

 蘭さんや猛はぜんぜん楽勝。僕もクリティカル連打とミニコの反復攻撃で苦もなく倒せる。

 アンドーくんは毛刈りとトドメのダブルパンチだ。ただ、前衛に立つのなら、もう一つ大技が欲しい。

 トーマスは守りは固いけど、攻撃面でもっと技がないと、一人での戦闘はキツイ。守り専門ならバランがいるからなぁ。今のままだと、パーティーを二手にわけたときのための補欠壁役だよね。

 クマりんは職業つける必要ないくらい、規格外に強い。
 モリーも蘭さんや猛に化ければ勝てるけど、自身の技では厳しいなぁ。仲間と離れたときに戦えないかも。

 ヒカルンは論外。モリーと同じスライム系なのに、変身ができない。

 シルバンも数値があんまり。ミダスタッチの活かせる敵じゃないと、戦闘は厳しい。早く重騎士にして鉄壁をおぼえさせるべきか。

 ぽよちゃんは芸達者ではあるんだけど、一人でドラゴン倒すには、まだしんどい。もうちょっと力つけてあげられたらなぁ。もとがぽよぽよだから……いや、いけない! ぽよぽよの僕がぽよぽよを差別するなんて!

「ぽよちゃんに吸血の指輪つけてあげてもいい?」
「かまいませんよ」
「じゃあ、ぽよちゃんはしばらく前衛に立って、ずっと力数値を吸血しててね」
「キュイ!」

 全員が一人で3ターン以内にドラゴンを倒せること。これが当面の特訓の目的だ。

 最奥の魂めざして、がんばるぞ!
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