第302話 豪のゴドバ戦3
文字数 1,441文字
もう! また進化!
次はなんだ?
さっき聞き耳はしてもらったから、ステータスは見ることができる。
えーと、なんか変わった特技はっと……。
吸血・魔改
敵全体からランダムで三つの項目を最大値の100%吸血する。成功率は100%
「わあッ! 冗談じゃない!」
僕はあわててスマホを出した! い、急がないと。
*
吸血・魔改
敵全体からランダムで三つの項目を最大値の——
*
ああーッ! まにあわなかった! 体力と知力と幸運がゼロになったー!
僕の……僕の幸運がー!
これまで、かなり早い段階から幸運はずっとマックスか、マックス手前だった。ゼロなんて今さら我慢できない!
すると、離れたところで蘭さんがつぶやく。両手がプルプルふるえてる。
「僕の体力が……かーくんに増やしてもらった体力が、またゼロに……」
いや、前のときゼロじゃなかったから! 5だったからね? 大差ないかもだけど。
プルプル。プルプルプル……。
「……さっきから、おまえさ。キモイんだよッ!」
あっ、蘭さんがキレた。
パーン!——と、全身から光が発する。来た! 勇者オリジナルのイベントだ。
「キモイ
虹? 虹色の巨大な矢のようなものが、ゴドバをつらぬく。ゴドバは両手をあげて雄叫びをあげ続けた。虹色の光が、ゴドバの体内から何かを吸いあげていくように見えた。
やがて、光が消えた。
チャラララッチャッチャ〜
ロランが『消えうせろ〜(#`口´)↓︎↓︎↓︎』をおぼえた!
消えうせろか。
顔文字がそうとうキレてるね。この顔、次からちゃんとできるのかな?
えーと、で、じっさいの能力は?
消えうせろ
戦闘中、敵が使う弱化、吸収、改造系の魔法や特技を封じる。
また、すでに奪われた能力は持ちぬしのもとに戻る。
おおーっ!
さすがは勇者の奇跡だ。
スゴイぞ。これでこの戦闘中、ゴドバはもう吸血と進化を使えない。しかも、しかもだ。すでに奪われた能力は持ちぬしのもとに戻るだって?
僕は自分のステータスを見なおした。さっき吸血されてしまった僕の幸運値……。
「あっ、ある! 僕の幸運99999に戻ってるー! 体力と知力もー!」
「僕もです! よかった。体力がまた紙になったかと……」
ははは。蘭さん、泣いてる。
それにしてもスゴイ技だ。
「もしかして、これまでにとられた、みんなの力も戻ったかな?」
「おおっ、戻っとるで!」
「ゆらり〜」
「わたしもです。復活の力が戻りました!」
ふえ花さん。フェニックスの能力をとりもどしたんだ。
「じゃあ、今ならゴドバを完全に倒せるね?」
「はい! 存分に倒してくださいませ」
やっとだ。
やっと倒せる!
「みんな、やるよー!」
「よし。かーくん。兄ちゃん、このあいだだけ一人で戦う。このターンでいっせい攻撃しよう!」
「うん」
猛が僕らのパーティーから離れる。見ると、猛が次々、分裂して増えていく。
ええーッ?
本体の猛は火の結界を張った。そして、すべての猛がギガファイアーブレス。
兄ちゃーん。もう人間じゃないぞぉー?
あっ、そっか。パリピの特技か。ビックリした。いつのまにパリピ習得してたんだ?
「みんな、行くよ〜!」
となりは蘭さんの特技で総攻撃だ。
背中側からは、ワレスさんが雷帝連弾。
あっ、クルウさんたちの隊が来る。そっか。ワレスさん、灰をかき集めるために、クルウさんたちの到着を待ってたのか。
たまりんがハープをひいたんで、僕らも詩人支援で総攻撃。
行くよ。僕の百億ダメージパンチ!