第265話 オバケじゃなかった
文字数 1,525文字
シャケ。オバケ。
いや、違った。オバケじゃなかったシャケからの再会。
「シャケ! シャケだ! 元気だった? ずっと探してたんだよ。アジも僕らといっしょにこの島まで来てるんだ」
「アジが? どこに?」
「あ、今はノーム村で待ってるけど。シャケに会いたがってたよ」
「アジはまだ子どもやからな。戦いにまきこむわけにはいかんやろ」
ん……もうまきこんだかも? てか、自分でまきこまれてたような。
「アジもがんばって強くなってるんだよ。それより、シャケは一人なの? これからゴドバを倒しにいくつもりなんでしょ? えーと、アユちゃんだっけ? 捕まってる子を助けたり」
「うん、まあ。そうやけど」
「なら、僕らといっしょに行こうよ。お金のことはもういいからさ。ゴドバは強いよ。一人で行くなんてムチャだよ。シャケが死んじゃったら、アユちゃんだって置き去りだよ? 力をあわせて、確実に助けだしたほうがいいよ」
僕は必死で説得した。
三村くん、ヤドリギ倒す前にいなくなったからさ。今のステータス、だいぶ僕らと差がついてしまってると思うんだよね。この状態で一人で戦わせちゃいけない! もしものことがあったら、必ずつれて帰ると約束したアジにも申しわけが立たないじゃないか。
「ね? ね? いいよね? いっしょに行こうよ? じゃないと借金とりたてるよ? いくらだったっけ? 三百億? なんかそれくらいだった。仲間になればチャラ。ならないなら借金」
三村くんはグウの音も出なかった。この場合、選択は一択。
「……ほな。ええんか? また仲間にさしてもらうわ」
ふふふ。三百億で買った仲間。悪徳どれい商人もどきのかーくん。
「わ〜い。シャケが帰ってきた〜! 仲間。仲間。あっ、服ありがとう。おかげでチンドン屋から解放されたよ」
「ははは……」
久々に三村くんが復帰だ。
ステータスは見れるかな?
見れた。よかった。見れなかったら、まだほんとの仲間じゃないってことだもんね。
三村くんのレベルは50か。
まあ、ある意味、僕らと同じくらい。ほんとは僕ら、何度もレベ下げして、あげなおしてるから、じっさいには二回レベルカンストした感じなんだけど。
職業は——っと、大暗殺者! おおっ、ウワサの大暗殺者! できれば、もうちょっとだけ早く仲間になってほしかったな。
で、ステータス。
HP488[512]、MP105、力300[360](396)、体力280、知力98、素早さ93[111](122)、器用さ325[357](392)、幸運66[72]
うわっ、低い!
万を見なれてしまった僕らにとって、今さらHP500とか言われても……。
職業もなってない。マスターしてるの中位職までだ。上位職は一個もないし、詩人すらマスターしてないから、騎士にさえなれないよ。体力高い系の三村くんなら、当然ついてるべきの職業なんだけど。
「……職業は、まあいいよ。今ここでは転職できないから、スズランと合流するまではこのままで。隠れ身は使えるんだ?」
「おう。使えるで」
「ならいい。けど、数値はひどすぎる。今、うち、ぽよちゃんの力が99999なんだけど?」
「ええーッ! なんやそれ! ぽよちゃん、えろうマッチョんなったなぁ」
「早急に書きなおさないと戦いで使えない」
「かーくん。使えへんとか言われると、ごっつ傷つくわ。グッサーやで?」
「それもこれも勝手に離脱して、転職もせずにさまよってたからだよね?」
「グッサー」
猛がよこでクスクス笑ってる。
「まあまあ、かーくん。行くぞ。蘭たちがどうなってるか心配だ」
「あ、うん。そうだったね」
とりあえず、ササッとHPに一万、力と体力に五千ずつ足しといた。じゃないと、ほんと使えないからね。