第119話 予選第一戦

文字数 1,403文字



 ドキドキ。
 幸運がマックス超え。
 数値で言えば、たった1だけど、これってなんか違いがあるのかな?

 それに、漁師、猟師って大富豪になるためにマスターしたんだけど、マスターしたときのボーナスに力、素早さ、器用さ5%アップがついてた。武人でも力5%アップだから、合計15%アップ。もとの数値が500超えてると、15%アップって大きいからね。大富豪の就職中のボーナスとあわせると力660だ。
 僕、けっこう強いぞ。

「次は二十五番の対戦です。二十五の赤、白。両チームは前に出てならんでください」

 あっ、ついに僕らの番か。
 先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の順に、両者むきあって整列。

 相手のパーティーは全員、ふつうに人間だ。
 むしろ、僕らのメンバー見て、あっちがギョッとしてる。そうだよね。
 背中から羽生やした竜人に、火の玉、ぽよぽよ(に乗った小人。たぶん、まわりからは見えてない)。僕とアジはパッと見、ひよわな少年。

「へへへ。大将以外は楽勝だな。初戦で敗退なんてできねぇからよ。おれたちラッキーだったな」
「おう、そうだ。そうだ」
「副将まで倒しといてやるから、あとは任せたぜ」

 ああ、見ためでバカにしてぇ。ぽよぽよ差別だ。

「では、先鋒戦です」

 僕と相手の先鋒以外は両陣営の待機場所にひっこむ。

 僕は会場のまんなかで相手と対峙した。
 とりあえず身長は僕より十五センチ高い。ウェイトは倍とは言わないけど、かなり差があるな。顔はニワトリっぽい。派手なカッコの闘鶏(とうけい)だ。

 見た感じ、赤いよろいを身につけ、盾、剣を持った典型的な戦士。
 ぽよちゃんがいないから聞き耳使えないけど、大会に出るくらいだから、最低でも武人かな? もしかしたら、その上の武闘王?

 すごく強いのかなぁ?
 先制さえとれたら、思いっきりパタパタして、いっぱい叩くんだけどなぁ。

 レフリーが中央線のよこに立って、白い旗をあげる。
「始めッ!」

 相手は剣をぬくような素振りを見せた。けど、かかってはこない。

 ん? 動けるな。
 足パタパタだ。パタパタ。パタパタ。パタパタパタパタ。

 男が笑いだした。
「おいおい、小僧。そんなに怖くてふるえてるくらいなら、最初から大会なんぞ出てくんな。おら、早くかかってこい。かるーく返り討ちにしてやっからよ」

 んん、この人、いばってるわりに、それほど素早くないな。まだぜんぜんマックスまで遠いのに、すでに十五、六回は動ける感じ。

「よし。じゃ、行くか」

 あっ、ちなみに僕にはミニコがついてる。だって、装飾品だからね。僕の持ちものなんで、いっしょに大会に出るのは問題なし。

 十五回も動けるんだから、まずは軽いジャブだね。
 僕はタターッとかけよると、試しに鞘つきのまま精霊王の剣(レプリカ)で男の脇腹をかるく叩く。
 男はよこっとびにふっとんだ。布団がふっとんだーレベルのぶっとびようだ。

「赤の先鋒、戦闘不能です! 勝者、白の先鋒!」
「わ〜い。まず一勝だねぇ〜」

 遅れて、どよめきが走る。

「うおっ? なんだ、あの坊主?」
「大の男がふっとんだぞ?」
「つ、つえー」
「めちゃくちゃ強ェー!」

 えっ? えっ? なんだ?
 みんなスタンディングオベーションで歓声あげてるんだけど。

 ああ、これって、もしかして、俺tueeee?

 蘭さんの力五万や、猛のステや、なんならミニコですら軽々、僕を超えてるから、大したことないって思ってたけど、そうかぁ。僕って強いんだ〜
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