第232話 職神戦2

文字数 1,385文字



 中位職は数が多い。
 えーと、僕が思いつくだけでも、武人、学者、賢者、大僧侶、大魔法使い、魔道戦士、大ニート、大商人、暗殺者、大盗賊、詩聖、漁師、猟師、とか。パリピとか、バーサーカーもここだったかな?

 次々と姿を変える職神を、僕はパコパコ叩いて倒していく。

 職神のおじさんも職業にあわせて数値をあげてきてるみたいだ。倒れた職業ぶんのマスターボーナスが加算されていってるんだと思う。

 基本職にはボーナス値のつくものがない。中位から少しずつ5%、10%とボーナスがついていく。と言うことは、ボーナス値がいっきに高くなる上位職あたりから、戦いが本格化するってことだ。

「ほう。なかなかやるな。中位職も全滅か。ならば、上位職だ!」
「オスッ!」

 上位職のリストは勇者、武闘王、重騎士など。なるのに苦労した持たざる者も、このクラスだ。

 あっ、そうそう。
 せっかくだから、断捨離もしてみたいよね。おぼえたてだから、まだ使ったことないし。

 僕の総資産額はとっくに百兆をこえるので、一度に一兆ひろうようになってしまった。ここに来るまでに十兆はひろってる。

「えーと、断捨離してみようかな」
「ほう。断捨離か。めずらしい技を使うな。金のかかる特技だ」
「お金ちゃんをすてるのは心苦しいけど。すてられたお金って、どこに消えるのかな?」
「おのれはアホか? そんなこと戦いの最中に考えるでない。さあ、かかってこんか!」

 職神さま、熱いな。熱苦しい。心苦しいのと熱苦しいの二重苦だ。

「ごめんね。お金ちゃん。またひろってあげるから、僕のとこに戻ってくるんだよ。じゃあ、断捨離! 百万円!」

 一億パンチは職神さまがかわいそうな気がしたんで、とりあえず百万円だ。

「百万か! そうとう張りこんだな。そなた」

 さっきは、おのれって言ったくせにィー。
 この職神さま、なんか生前は関西人だったような気がする。

「では、武闘王だ!」
「えい!」

 素手パンチで襲いかかると、百万ダメージ……か?
 あっ、かわされた。

「速い!」
「ははは。上位職だからな。そうやすやすとは倒されんぞ」

 たしかに、初めて一撃で倒せなかった。でも、かわされきる前に反対のこぶしでパーンチ! 人間には二本の腕があるのだ。

「えい!」

 99999素早さの手数の多さと、99999器用さの正確な攻撃。そして、99999幸運のクリティカル率!

 職神さまは倒れた。

「ははは! おもしろい。じつにおもしろいぞ。まだまだだ! 重騎士!」
「えい!」
「聖騎士!」
「えい!」
「死神騎士!」
「えい!」

 とにかく、こっちのほうが素早いから、ガンガン倒せる。素手攻撃って通常攻撃が二連打になるんだ。知らなかった。

 僕は少し油断してたかもしれない。この調子で最後まで楽勝なんじゃないかと。

「……ほほう。竜王のわしをなぐり倒すとは、やるな。ここまで来れた挑戦者は、まっこと久方ぶりよ」
「ウスッ!」

「よかろう。いよいよ、最上位職だ。ここからが本番。行くぞ。少年よ」
「少年じゃないけど、少年でいいです!」
「ならば、剣聖だ!」

 ついに剣聖か。この前、ワレスさんがなってたやつだよね。勝てるかな?

「えい!」
「ぬるい。ぬるい。そのていどのパンチ!」

 むーん。やっぱり最上位職だ。とたんに数値がはねあがったみたいだ。HP残ったか。

「ミ〜!」
「ぬる……ギエッ!」

 あっ、倒れた。
 ミニコ最強伝説……。
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