第234話 職神戦4
文字数 1,634文字
職神。すべての職業をきわめし者。
すべてってことは、パリピだのバーサーカーだの、ニート大ニートに耐えつつ、最上職も全部マスターしたってことだ。素晴らしい。それだけに、スゴイ職業なんだろうな。
「よし。じゃあ、ミニコ。行くよ?」
「ミー」
呼びかければ応える装備品、ミニコ。
「そ〜れ。光れ〜」
「ミミミ〜」
「ふふふ」
あれ? きいてない?
おかしいな。
魔神のときには、バッチシ、きいてたのにな。
「かーくん」
またもや、猛の助言が発動!
「職神の就労中の職業特性がな。最上位職のすべての職業特性って書いてある」
そうか。兄ちゃんは聞き耳できるから。
「最上位職のすべてって、なんだろ?」
ちなみに商神は戦闘報酬が十倍になる、だ。僕にとってはなんの価値もないよね。
「えーと、剣聖は剣装備してると行動数プラス1。剣での攻撃力二倍。賢神は杖かハープ装備で行動数プラス2。さらに魔法攻撃力二倍。勇神が光属性魔法効果二倍と、光魔法吸収100%」
「あっ、それだ」
「それだな。ちなみに魔神は闇属性を吸収するぞ」
「つまり、光と闇の魔法はいっさい効かないと」
「そういうことだ」
つまり、ラフランスさんの光神爆発は封じられたな。
「じゃあ、ほかの属性の魔法じゃないとダメなのか」
どうやら、まだ動くことはできるようだ。素早さマックスだから、僕のほうが職神さまより早い。
ただ、職神さまは素早さに関係なく、職業特性で三回、通常の行動数で一回の計四回は行動できる。なぜなら、職神さまは両手に剣と杖を持ってるからだ。
そういえば、武人だかなんだかのマスターボーナススキルで、二刀流っていうのがあった。盾を持つかほかの武器を持つかは本人の自由だ。
僕はあと何回、動けるかな?
これまで、いつも僕のターン内で勝利してたから、なんとも言えないけど、職神さまの攻撃力によっては、僕は一撃死だ。自分の順番のあいだに勝てる算段をしないと。
「通常攻撃は鉄壁カウンターで七割ふせがれる。魔法かブレスでしか安心して攻撃できない。僕はブレス吹けないから、魔法しかないわけか」
その魔法も光と闇属性は吸収されるけど。
うーん。蘭さんにあげた雷帝、もったいなかったかな。せめて、雷神の怒りを僕も使えたら、ミニコと連発することもできたんだけど。
ミニコも僕も使える強い魔法は、燃えつきろか、凍りつけだ。職神はもともと人間のようだから、とくに弱点属性はないだろう。
「じゃあ、燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
「ぬおー!」
行けたか?
いや、まだだ。ダメージはあったみたいだけど、平気な顔してる。
「かーくん。職神の最大HPは99999だ。かーくんの今の攻撃は千ダメージ。ミニコのが三万ダメージだ」
「ええー! 僕の知力だって一万にはなるのに、たった千なんだ?」
「ミニコの五万知力が三万に抑えられてるからな。職神の知力が二万はある」
やっぱり、とんでもなく強いんだな。でも、ミニコの魔法が三万もきくんなら、あと二発か三発で倒せる。
「ミニコ。行くよ。燃えつきろ〜!」
「ミミミミミー!」
よし。もう一発!
——と思ったら、僕の体が重い。まだ動ける。動けるけど、この感じはラスイチだ。
「職神さま、素早さ三万あるんだ!」
「あるな」
「あるんだ!」
「ははは。あるとも」
だから、誰がどのセリフかわからなくなるから、職神さま、勝手に会話に割りこんでこないでほしいんだよね。
あと一発で、倒せるか?
「猛。職神さまって、残りHPいくつ?」
「約だけど、三万七千」
三万七千か。それって、ミニコの攻撃が正確に三万ずつってことだ。つまり、もう一発、燃えつきろを使っても、数千が残る。倒せない。
だとしたら、魔法で攻撃はもう考えられない。
ほかに使える大技は、小切手を切る。でも、まだ僕は商神をマスターしてないから、傭兵呼び系が必中じゃないんだ。かわされる可能性が多々ある。
それか……賭けてみる、か?
僕の幸運99999なら、絶対に僕が勝つはず——なんだけど……。