第113話 白虎戦1

文字数 1,419文字


「我を呼びさませしは、そちらか?」

 おおっ! 人語を話す。神々しい。
 やっぱり白虎はフェニックスやホワイトドラゴンと同じ聖獣だ。

「はい! 僕たちです」
「我の守護がほしいのだな?」
「はい。手あわせお願いします!」
「よかろう」


 シャララー、ララー、ラララ〜
 いつもと違う戦闘音楽。だけど、ボス戦みたいに禍々しくない。


 野生の白虎が現れた。
 野生の白虎の先制攻撃!
 野生の白虎の威嚇。ぽよちゃんはひるんだ。たまりんはひるんだ。


 えっ? 先制とられるって、そんなに白虎、素早いの?

「ぽよちゃん、聞きみ……」

 あっ、ダメだ。ぽよちゃんはふるえてる。かわいそうに。あんなにプルプルして。

「威嚇はスタン攻撃か」
「でも、素早さはおれのほうがずっと早いぞ。たぶん、さっきの先制はイベントだな」
「そっか。兄ちゃんも聞き耳ができるんだ。兄ちゃん、聞き耳!」
「……いいけど」

 猛の耳がピクピクしても、イマイチ可愛くないんだよね。いやされない。ぽよちゃんじゃないとダメだぁー。

 でも、白虎のステータスは見れた。レベルは10。HP10000、力は1000、体力300、素早さ300で器用さが1500か。幸運は1500。

 今までのボスと比較したら、格段に強い。力1000で器用さ1500って、ふつうならムリゲーだ。
 ただ、こっちの数値が異常に高いだけ。すいません。つまみ食い、さんざんしてきたもんで。

 特技は子白虎とあんまり変わらないなぁ。狩りと気まぐれ。あとは神獣の気。

「神獣の気ってなんだろ。長押しは……できない」
「かーくん。狩りがやっかいだな」
「そうだね。念のため、僕と猛以外は後衛になったほうがいいね」
「でも、おびえてる。動けないだろ」
「あっ、そっか」

 スタンかかってるターンは行動ができない。
 ぽよちゃんたちにはまだ全状態異常を無効化するアクセサリーつけさせてなかったね。人間中心にいいアクセサリーくばってたから。

「いいよ。白虎の素早さ300だからな。おれの数値なら20回は動ける。二人には、おれが守る使うよ」
「たのんだよ」

 じゃあ、僕は攻撃に専念だ。パタパタして素早さをあげる。僕もレベルいっぱいあがったから、マックス数値なら8000以上だ。20回行動できるとして——

「猛」
「うん。なんだ?」
「傭兵呼びって卑怯だと思う?」
「……そうだな。多勢に無勢で、ちょっとズルイかも」
「だよね。じゃあ、正攻法で行く」

 ひさびさに精霊王の剣(レプリカ)の出番だ。
 僕が剣をふるうと、ミニコが出てきてゴツンとパンチ。も一回なぐると、さらにキック。しかも、僕の攻撃はクリティカル。

「だいぶ、けずれた? あれ?」

 変だな。十回ほど攻撃してから、白虎のステータスを見なおしたけど、HP1ミリも減ってないんだけど?

「ええっ? なんで僕の攻撃きかないのぉー?」

 変だなぁ。
 僕だって、攻撃力500近くにまであがったぞ? 精霊王の剣の攻撃力も足せば700にはなるんだけど? 単純に白虎の体力300をひいても、一撃で400くらいのダメージは与えられるはずなんだけどな。じっさいにはクリティカルだから、その四、五倍。

「かーくん。もう一回だけ攻撃してみてくれ」
「うん。こう?」

 刃をつきだすと、カキンと青白い波が目の前に浮きだす。盾のように白虎を守ってる。

「ああ……神獣の気だ」
「だな。白虎はこの気に守られてるうちは、ダメージを受けないんだ」

 うーん。そんなの無敵じゃないか。どうしろって?
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