第102話 ミニコが強い
文字数 1,724文字
ぽよちゃんは火竜になった。今のパーティーのなかで、ゆいいつ立派な職業だ。
ミニコは僕の装備品なので、さすがに職業までは習得できなかった。もう充分強いんで、いいんだけど。
「あッ!」
「かーくん、どうした?」
「み、ミニコの数値が……」
「かーくん、いいなぁ。高級ロボット持ってるなぁ」
「ミニコの数値がとんでもない!」
「へえ?」
ミニゴーレム軍団戦に勝ったあと、たくさん歯車食べてたから、強くなってるだろうなとは思ったけど、あらためて見なおしてみたら、ものすごいことになってる。
レベル43
HP8792『8500』、MP750『750』、力5138『5000』、体力6678『6500』、知力33559『33510』、素早さ1760『1740』、器用さ1760『1740』、幸運4350『4270』
なんかもう僕よりはるかに強いんだけど? レベルアップではまったく伸びないMPでさえ、750もある。しかも、なんで知力だけ万なんだ? 三万超えてるんだよ?
「そうか。ギガゴーレムだ。ギガゴーレムが落とした巨大な歯車。あれってランダムな項目の数値を三万あげるんだ」
も、もったいない。
なんでよりによって知力なんだ? ミニコは魔法覚えないのに。体力だったらよかったのに。そしたら、『仲間を守る』でパーティーの防御が格段にあがったのにな。
それか、せめて力。力三万だったら、ボスもワンパンだ。
「ハッ! 魔法をおぼえさせればいいのか!」
そうだった。僕はこれまでさんざん魔法屋で魔法書を買ったじゃないか。今使わずして、いつ使う?
「わ〜い。ミニコ、行くよ?」
「ミ〜」
僕はミャーコポシェットから次々、魔法書を出して、それでミニコの頭をポコポコたたいた。これ、魔法書の正しい使いかた。
「えーと、同じ呪文の使うともったいないからな。気をつけないと。あっ、これはワレスさんの『雷神の怒り』か。うーん。そのうち僕がおぼえたいから、とっとこうかな」
燃えろ〜(^_^*)
もっと燃えろ〜(^_^*)
燃えつきろ〜(^_^*)
みんな、燃えつきろ〜(^_^*)
冷たくなれ〜(°▽°)
もっと冷たくなれ〜(°▽°)
凍りつけ〜(°▽°)
みんな、凍りつけ〜(°▽°)
プチサンダー°˖✧︎◝︎(⁰▿︎⁰)◜︎✧︎˖°
ふっとべ〜‹‹\(´ω` )/››
みんな、ふっとべ〜‹‹\(´ω` )/››
アクアリウム( •̀∀︎•́ )✧︎
雨よ降れ〜( •̀∀︎•́ )✧︎
まっくろけ〜(o_o)
光れ〜(☆︎∀︎☆︎)
うん。攻撃魔法ばっかりおぼえさせた。職業でおぼえられる最強魔法は
さらに、もしものときのために、『みんな、もっと元気になれ〜ヽ(*´∀`)』と『死なないで〜( ;∀;)』は覚えさせた。全体回復魔法と単体蘇生魔法。補助魔法は一個もないけど、これで完璧だ。
パーツが両目しかないミニコの顔で、この顔文字を表現できるかどうかが問題だけど。
「じゃあ、あとは武器屋と防具屋に行って、街で昼ごはん食べてから特訓ね」
「いっぱい職業おぼえような!」
「うん!」
武器屋と防具屋はさほどのものがなかった。まあ、しょうがないよね。僕ら、そうとういいもの、すでに持ってるからね。
雑貨屋にはポチ袋ってアイテムがあった。何かと思えば、ダンジョンやワールドマップを歩くだけで、一歩ごとに一円から百円が増える、というアイテムだ。付属のシールで封をしたあと、封を切るまで効果が持続。なるべく長いあいだ置いときたいけど、そのぶんエンカウント率があがるんだそうだ。一袋百円で売れてる。
「猛、貧乏なんでしょ? これ、たくさん買ってあげようか?」
「おお、助かるよ」
猛に千枚ほど買ってやった。
僕には必要ないね。ふっ。
と思ったけど、もしかしてこれ、特訓のときに役立つんじゃないかな? 封を切らないでおけば、エンカウント率がどんどんあがってくし。モンスターを呼ぶ魔物の草笛と併用したらいいかもね。
「ポチ袋、僕にも百枚ください」
「はい。おおきに。ほな、これ、抽選券な」
これで準備は万全だ。
特訓するぞ〜