第107話 特訓は猫まみれ(幸せ〜)

文字数 1,700文字



「そうか! 始まりの街なんだ。ヒノクニから冒険する人にとって、この近辺は始まりの街なんだよ。だから、今の僕らにとっては指一本で倒せるほど弱々なんだ」

 ヒノクニの最弱モンスターはネコりんなのかぁ。
 と思ってたら、テロップが意外なことを告げた。


 チャラララッチャッチャ〜
 戦闘に勝利した。経験値8000、800円を手に入れた。
 ネコりんたちは宝箱を落とした。ネコ鈴四個を手に入れた。


 ネコ鈴かぁ。どんな道具だろ? 装備品か。防御力がちょっとあがる。あと、装備品魔法として、ランダムな効果のある特技のもっともいい効果が出やすくなる。複数装備すると効果は重複する。

 ランダムな効果の特技?
 遊び人の『賭けてみる〜?』みたいなやつかな?
 敵か味方が必ず全滅するっていう、遊び人の最大奥義。味方が全滅したら怖いから絶対使えないけど、いい効果の出る確率があがれば、使える技になるかも?

 とか考えてたら、さらにテロップが続いた。


 ネコりん(黒)が起きあがった。ネコりん(黒)は仲間になりたそうにこっちを見ている。
 ネコりん(黒)を仲間にしますか?


「あれ? 蘭さんがいないのに仲間になった。なんでだろ?」
「どうでもいいよ。可愛いから、つれてこう」
「そうだね」

 もちろん、イエスだ。このさい役に立つとか関係ない。可愛いは正義だ。

「わ〜い。黒猫も飼ってみたかったんだよねぇ。名前はクロ……」

 いや、ダメだ。クロちゃんって呼んだら、モンスターな芸人みたいになってしまう。

「えーと、ブラックキャットだから、ブラック……ラブ……ラブちゃんだね!」
「おおっ、さっそくモフりたおそう」

 だけど、ラブは一目散で猫車に走っていった。車をひくトラっちにすりよってる。

「うーん。僕らにっていうより、トラっちになついてる」
「そうか。猫族どうし、仲間だと思ったのかもしれないな」

 それにしても、おっかしいな。始まりの街付近の最弱モンスターのわりに、経験値が8000も貰えた。一匹2000ってことだよね? チョンとしただけで失神する子たちなのに?

 ちょっと疑問に思いながらも、その日はさんざんネコりんたちと遊んだ。猫まみれだ。幸せ〜

「僕、白猫もほしい」
「兄ちゃん、キジトラも好きだなぁ」
「それ言ったら、サバトラだって、ブチだって、ミケだって好きだよ」
「みんな、仲間にしよう」

 ネコりん狩りだ。
 なにしろ、チョンっとするだけなので、あっというまに戦闘が終わる。おかげで午後だけで何百回戦ったことか。
 あっというまに、猫車のなかはネコりんであふれた。

 猫車は人間なら最大四人、小さいモンスターは三匹で人間一人ぶんと換算されるので、ミニモンスターだけなら十二匹収容可能だ。
 アジはNPCだから、ネコりん四匹追加で猫車はいっぱいになった。あとの子たちは、ひたすらモンスターおじいの牧場に送りこむ。

 新たな仲間は黒猫のラブ、白猫のトイ、キジトラのタイガ、ロシアンブルーっぽいシアだ。ほかの子より初期値がちょっとだけよかった。

「はあ。つまみ食いもしたし、レベルもいっぱいあがったし、今日はもう帰ろうか。楽勝だねぇ」
「ラクすぎて怖いな。白虎はどこにいるんだ?」
「奥じゃないの?」
「なんか、竹林のなか一周したような気がするんだけどなぁ」

 竹林の宝箱には、竹のハープがあった。たまりんのハープに合体させる。攻撃力は5しかないけど、竹林のエチュードっていう装備魔法がついてた。これまでなんの効果もなかった5ターンめに効果が出る。これで全ターンに何かしらのハープの効果が発揮できる。

 ちなみに竹林のエチュードは詩人支援。

 演奏のあと、詩人系職を一つでもマスターした人は、自分の行動順を消費せずに一回追加行動できる。しかも、その効果が倍増。つまり、詩人たちによる総攻撃が可能。詩人軍団なら、めっちゃスゴイんだけどね。
 とりあえず、うちだと、たまりんは行動できる。

 せっかくなら、この魔法を有効に使えるように、僕くらいは詩人もマスターしといたほうがいいかな?
 何しろ、大ニートは今日でマスターしたし、職業習熟度高いと、やっぱり覚えるのが早い。

 さ、明日も猫とたわむれるぞ〜
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