第36話 いよいよ、ギガゴーレム保管室へ

文字数 1,373文字



 休憩所のなかにはドリンクバーがあった。熱いお湯も用意されてて、ティーパックのお茶が飲める。しかも、どういうわけか、その設備がいやしの泉効果を持ってた。

「今までの泉と違いますね」
「うさんくさいよ」
「でも、ちゃんと回復すうよ? HPもMPも全回復だわ」

 場所が研究所だから、泉も現代的になってるらしい。
 ボス戦が近い証拠だね。

 僕はミャーコポシェットから、街で買ってきたサンドイッチやチョコレートバーをとりだして、みんなと食べる。
 さりげなく、ホムラ先生が手を出してくるんだよな。この人、うんと年下にたかることをなんとも思ってない。

「先生。僕らがここに来たのは、お願いがあるからなんです」
「うん。なんだね?」
「じつは、この機械なんですけど」

 僕はスマホを出してみせる。

「スマホだね」
「あれ? 知ってるんですね」
「そりゃ知ってるよ。現代人の必需品じゃないか」
「ははは」

 やっぱり、先生はもとの世界の記憶を持ってるんだな。
 僕と猛とワレスさんだけかと思ってた。にしてもさ。今度は、われすって打ったら、ペコメが第一候補に出たよ?

「このスマホが僕の特技を使うのに必須なんです。だけど、さっき電池切れになってしまって。充電したいんですけど、どうにかなりませんか?」
「ふむ。ミニゴーレムの電池のソーラー充電システムが役立つな。だが、スマホ用に改良が必要だ」

「どれくらいでそのシステム作れます?」
「一週間ってとこだろうな」

「じゃあ、お願いします」
「研究費がいるが」
「いくらですか?」
「五百億——と言いたいとこだが、君には世話になったから、特別に五億でうけおってやろう」
「…………」

 ほんとに? ほんとに五億もかかるの? ミニゴーレムより高いんだけど?
 そのお金でカジノに行くんじゃないよね?

 まあ、信用するしかないんで、僕は五億円を渡した。ホムラ先生の白衣のポッケに消えていく金貨たち。

 だけど、これで一週間後には、スマホのバッテリーが満タンになるんだ。蘭さんの防御力もあげられるし、ほかのメンバーの数値だって爆昇できるぞっと。

 さて、ドキドキするけど、行かないわけにはいかない。
 僕らは休憩所を出て、いよいよ、エレベーターに乗る。
 ここをおりたら、ボス戦かぁ。しかも、そうとうに強そうだ。

 僕らが全員乗りこむと、エレベーターのドアはしまった。一階のボタンを押す。ドキドキ。スーッと降下していく感覚。

 やがて、ピタリと箱がとまり、ドアがひらく。
 ついたぞ。ギガゴーレム保管室だ。

 目の前に広い倉庫があった。倉庫というか、車庫みたいな。整備用の機械や工具が手前のほうにならんでいた。そのむこうに、ミニゴーレムがたくさん。動いてない。起動前だ。

「ん? ギガゴーレム、いないんですけど?」
「君、君、あれが見えんのかね?」

 あっ、いた。
 ホムラ先生が指さしたのは一番奥だ。あんまり大きいんで、ただの壁かと思った。両側から鉄骨にはさまれて、しっかりホールドされてる。
 体高は三十メートルだろうか? スゴイね。ミニコの百倍だ。

 けど、大変だ。
 今、その巨大ロボの前には、ゴチャゴチャと人がいて、ケージを外そうとしてる。
 うん。盗賊だね。盗賊がたくさんいる。
 それに、あのマントと覆面は、この前の列車強盗のボス。

 やっぱり、三村くんなのか?
 三村くんと戦わないといけないのか?
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