第109話 子白虎って……

文字数 1,423文字



 子白虎……。
 たしかに、それは子どもの白虎だ。大きさはほんとの虎ほど大きくはない。でも子牛ていどのサイズはある。
 なんだかヤバイ。
 攻撃はしてこなかったからいいんだけど。

 猛は逆に嬉しそう。
「ネコりんの『化ける』か。へえ、子白虎になるんだなぁ。だから、トラっちになついたんじゃないか? トラっちを親だと思った」

 ああ、そうかも。

「今まで先制とられたことなかったから、気づかなかったんだね。能力値もだいぶ変わってるんだろうな。ぽよちゃん、聞き耳お願い」
「キュイ!」

 聞き耳によると、子白虎たちのレベルは1。
 でも、HPがいっきに1000にあがってる。攻撃力は200かぁ。防御力は50しかないけど、器用さが300。幸運度も高くて、ヒョイヒョイよけながらクリティカル多発してくるモンスターだ。

 特技はネコりんの化けるがなくなって、かわりに『狩り』になってる。長押しで見ると、HPの低い敵を集中的に狙う1.5倍の単体攻撃だ。
 ほかはネコりんと同じ、猫パンチと気まぐれ。

 ちなみに、猫パンチは通常攻撃を二回くりだす。ただし、人型、獣型——つまり、僕らに対してのダメージが1.5倍。ぽよちゃんも1.5倍対象だね。

 気まぐれは? 気まぐれは何?
 ふむふむ。狩り、猫パンチ、猫キック、アクビ、毛づくろい、威嚇(いかく)のどれかを気まぐれに行う。
 狩りと猫パンチはわかるとして、猫キックとかアクビってなんなんだ? 長押ししてもこれは見れなかった。

「うーん。猛。意外と油断できなかったね」
「まあ、レベルが低いから、今の数値ならさほどじゃないよ」
「僕らがターゲットならね。だけど、狩りを使われたら、たまりんかアジが狙われる」

 たまりんは火の玉だから、HPが極端に低いんだよな。そのぶん、通常の物理攻撃はあたらない。魔法の耐性はめちゃくちゃ強い。ただし、クリティカルなら物理攻撃でもあたってしまうっていう弱点がある。

 えーと、昨日今日で僕ら、ガンガン、レベルあがったから、今の数値は?

 たまりん
 レベル53(パリピ)
 HP234、MP262、力45、体力50、知力300[330](300)、素早さ69、器用さ93[116]、幸運55(66)

 うーん。マスターボーナスとかついてはいるけど、それでも低い。HP234か。攻撃力200の敵がクリティカルをキメたら……うん。一撃死かな。

 アジはNPCだから、しっかりとは見れないけど、レベルは22。じつは昨日今日でレベル17もあがってる。僕らの仲間になる前はレベル5だ。HPもそれなりだろうなぁ。

「たまりんとアジは猫車に入っててもらおうかな。ぽよちゃんはレベル55でHP440ちょっとか。たぶん、一撃は耐えられるから、身を守るにしとけば、二撃は大丈夫」
「かーくん、おれがぽよちゃんを守ってやるよ」
「ほんと? じゃあ、たのむね。猛」

 そうか。猛は守るも使えるのか。

「まあ、そこまでに倒せばいいんだよね」
「HP1000か。つまみ食いしたいなぁ」
「だね。じゃあ、僕、つまみ食いしたあと三体倒すから、残りは猛に任せる」
「よし。そうしよう」

 肉祭り〜と思ったけど、パタパタして素早さをあげたあと、僕がストローチューチューのイメージでつまみ食いしようとしたら、できなかった。

「猛! 食べられない」
「もしかして、聖獣だからかもな。聖獣はつまみ食い、効かないことがあるんだ」
「なんだ。そうなのか。じゃあ、攻撃して——」

 どうした、僕?
 動けない……。
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