第296話 豪のゴドバ戦(進化)4

文字数 1,580文字



 進化——
 戦いながら、特技をより強く、より効果の高いものに改良していく。

 なんて技だ。それでなくても、基礎になる特技じたいが、のっとるだの吸血だの、復活だの、やっかいなものが多い。のっとる毎ターンなんて、正直、無敵じゃないか?
 今のターン、僕らは誰一人行動できずに、順番をゴドバに



 ゴドバのブレス攻撃が来るのか? トーマスだってHP一万にはなるのに、それが一撃でやられちゃうブレスって、いったいなんなんだ?

「闇ブレスか。もしかして、トーマスは闇が弱点属性だったのかな?」
「かもしれへんな」
「このままじゃ、僕ら回復するヒマもなく一人ずつやられてく」
「タケルが復帰せえへんのかいな? あっ、人形のことやないで」
「兄ちゃんが失神したわけがわからない。この戦闘とは関係ないのかも」

 これはもう、まともに戦っても勝てない。
 復活、進化。なんとなく語感から言っても、魔改造された成果のような気がする。禁じられた古代の魔法。
 つまり、正攻法では勝てない相手ってことなんだ。

 なら、こっちも裏技を使えばいい。
 僕の小説を書くで、蘭さんが来てくれるまで、もちこたえてみせる。小説を書くはターンの順番に関係なく、いつでも自由に使えるからね!

 僕は急いでスマホをとりだす。
 この戦闘のもようを頭から書きだした。両手打ちだ。ポチポチポチっとな。文章はあとで書きたすとして、とにかくササッと概要だけ記す。

 そして、まずは『のっとる・改』の下方修正だ。


 *

 のっとる・改
 毎ターン『のっとる』が使える。ただし、成功率は1%


 *

 よしっ! これなら、ほぼ、のっとられることはない。
 次は『進化』だ。
 コレがあると、次々、特技が強力になってくからな。

 とりあえず、進化がどんな特技か説明を見る。

 進化
 自身の特技をランダムに強化する。戦闘が終わっても、その効果は続く。

 なんだコレ!
 戦闘が終わっても効果が続く?
 じゃあ、今後はずっと、のっとる・改が使えるのか。それどころか、戦うたびに、もっと強い技をおぼえて、それがずっと使える……とんでもない技だ。

 なんとか書きかえよう。

 そのとき、魔法が僕らを襲った。闇属性の攻撃魔法だ。
 僕はヒラリとかわす。ぽよちゃんも器用さふりきってるんで、ピョンと身軽にとびこえる。

 けど、三村くんがやられた。
 てか、タケル人形じたいがカウンター返さずに灰になっちゃったんだけど!

「ああー! メンバーが一人ずつ倒されてく! たまりん、蘇生お願い!」
「ゆらり!」

 さっきので、ゴドバの攻撃は終わりだ。またのっとられる前に、こっちがどんだけ回復できるかがカギになる。『のっとる・改』は99%失敗するけど、そうこうするうちに3ターン経過すると、ふつうの『のっとる』が成功してしまう。

 ゴドバはのっとろうとしたけど、できなかったみたいだ。よしよし。小説を書く、きいてるぞ。
 次は進化を封じてやる!


 *

 進化
 戦闘中、自身の特技をランダムに強化する。効果は2ターン持続。


 *

 無念。これ以上、劣化できなかった。ほんとは成功率をさげるとかもしたかったんだけど。書きこもうとしたらエラーになった。
 でも、効果は2ターンだ。つまり、のっとる・改はこのターンの終わりで効果が切れるぞ。しかも、次の戦闘では使えなくなってる。

 なんとか、これでやりすごせるんじゃ?
 あとは猛さえ気がついてくれれば……。

 たまりんが『みんな、死なないでェー!』で、三村くんたちを蘇生させてくれた。ただし、燃えつきてしまったタケル人形はもとに戻らない。人形は戦闘不能になると消えてしまうようだ。

「シャケ、トーマス、アジ。大丈夫?」
「すまん。やられてもうたわ」
「もう大丈夫です」
「はぁ。ビックリした。強いブレスだね。ブレスをやわらげる特技があればいいのにね」

 ん? それだ! アジ、お手柄!
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