第40話 三村くん(筋力増強アーム)戦3

文字数 1,207文字



 ところがだ。
 僕がチョンっと三村くんの胸を押そうとした瞬間。
 保管室の外から、物音が聞こえた。エレベーターのドアがひらき、そこにビッシリとミニゴーレムが乗っていた。僕らの進路をふさいでいた防火シャッターも、とうとつにあがり、そっちからもチビロボ集団がやってくる。

「ああっ、研究所内のミニゴーレム。まだこんなにいたんだ」
「うむ。全部で一万体、作った」

 ホムラ先生。そんなに金儲けしなくたって……。

 たしかに傭兵呼びはまだできる。だけど、これじゃギガゴーレムを持ち去られてしまう。盗賊たちは反対側の出口から、ギガゴーレムを押して出ていこうとしていた。もう一刻も猶予(ゆうよ)がない。

「どうしよう! アイツらにギガゴーレムを持っていかれたら、大変なことになる!」

 国を滅ぼすことができるって、巨〇兵かっての。そんなの魔王軍の手に渡ったら、いくつの国が破壊されることか。

「かーくん。あの電波増幅器をこわしてください!」
「うん。そうだね。ロラン」

 僕は三村くんに背をむけ、増幅器をつかもうとした。
 そのわきを誰かがすりぬけていく。目の前で増幅器を奪われてしまった。

 あの少年だ。
 三村くんの手をひいて逃げだす。
 追いかけようとするんだけど、仲間を守るを使って、ミニゴーレムたちがあいだに立ちふさがる。

「ああっ、どうしよう!」

 と、そのときだ。
 トトトっと、うちのミニコが走ってきた。僕の前にとびだしてくる。

「ミニコ? どうしたの?」

 あれ? というか、ミニコはなんでゴーレムリモコンにあやつられないんだろ?
 シルバンは魔法生物だから、姿は似ててもミニコたちとは、まったく違う構造だ。ゴーレムリモコンでは操作できないのも納得できる。けど、ミニコはなんで?

「ミ〜」

 ミニコは両手をつきだした。
 そして、両目をピカピカさせて、頭の飾りをポンッとひらく。

 ああ……プログラムFだ。
 やっぱりリモコンの影響で動作に変調きたしてるのか。僕らを攻撃してこないだけでもよかったけど。

 と思ってたら、ミニゴーレムたちのようすが、なんだかおかしくなってきた。
 ミニコに同調するように、両手をつきだし、頭の上にポンポン花を咲かせる。

 ホムラ先生は満足そうだ。
「素晴らしい。みんな友達プログラム。ミニコの発する正常な周波数を仲間たちにシンクロさせることによって、リモコンの命令を打ち消したんだ。これは世界平和に役立つぞ」

 なるほど。プログラムフレンド。そういう仕様だったのか。

 おかげでミニゴーレムたちはすべて、おとなしくなった。目の色が青く変わっていく。

「かーくん。シャケを追いかけますよ!」
「うん!」

 僕らは走った。けど、ダメだった。まにあわなかったよ。裏口から出ていったんだろうね。盗賊団やギガゴーレム、三村くんと少年の姿も見えなかった。

 戦闘勝利の音楽やテロップは流れてたけど、それどころじゃない。

 大変だ。
 ものすごい破壊兵器を盗まれてしまった。
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