第19話 ゴーレムの邂逅

文字数 1,448文字



 シルバンが仲間になったとき、出現場所の森には、たくさんの銀晶石ゴーレムがいた。シルバンの仲間たちだ。

 だけど、そう言えば、みんな同じサイズだった。それか、シルバンよりずっと大きいか。小さいゴーレムを見て、おどろいちゃったんだね。

「シルバン。この子は今日から僕らの仲間になった、ミニゴーレムのミニコだよ」
「シルコ?」
「ミニコ」
「シルコー!」
「ミニコだけど……」

 うーん。いっそ、シルコでもよかったか。お汁粉(しるこ)も美味しいよねぇ。

 まあ、仲よくなってくれたみたいでよかった。ETよろしく指と指をタッチして何やら交信してる。

「さてと、じゃあ、研究所に行こうかぁ。街の南東って言ってたよね」

 街を出て南東。しかも、けっこう遠いって。街のなかに建てることはできなかったのかな? そうとう大きい建物だとか?

 考えていると、ミニコが南東の方角を指さした。

「あれ? ミニコ、研究所の場所、知ってるの?」
「ミー」

 あっ、ミニコのしゃべりがロボット調じゃなくなった!
 な、なんでだ? シルバンの影響かな?
 たしかに、こっちのほうが可愛いけど。意味はわからなくなった。

「かーくん。今のは『知ってるよ』って言ったんですよね?」
「そうみたい」
「この子って、もしかして研究所で造られたんじゃないですか?」
「かもね。電化製品作ってるのって、研究所っぽいもんね」
「でんかせいひん?」
「あっ、ごめん。電気で動く機械のことだよ」
「ふうん」

 ミニコが両手をふって歩きだす。
 ああ、ミニコはレベル1だよね。一人でワールドマップを歩かせるわけにはいかない。マップにはモンスター出るからね。

 僕は急いで、ロランに相談する。

「ワールドマップは後衛が必要なほどの敵は出ないよね?」
「かーくんと僕がいれば、たいていの敵に遅れをとることはないんじゃないですか? あとの二人は自動石化のケロちゃんと、素早さの高いぽよちゃんがいいかな。アンドーはもしものときに後衛から回復お願いします」

 蘭さんは言ったんだけど、シルバンが猫車に戻らないぞ?
 ミニコが気になるみたいだ。そのまま、ついてくる。
 変だな。馬車の外には前衛の四人までしか出られないはずなんだけどな。

 馬車のなかから、アンドーくんが声をかけてきた。

「あれ? かーくんやつ、外に五人おるね?」
「そうなんだよ」
「ミニコのステータスが見れんけん、数に入っとらんだない?」
「やっぱり、ミニコはNPCかなぁ?」

 とにかく、まあ、歩く。歩く。歩く。

 エレキテルの街の外は気持ちのいい草原だ。背の低いブッシュがときどき、ぽこぽこ顔をのぞかせてる。海岸が近いせいか、風に潮の香りが、かすかにまざってた。潮騒が聞こえるよ。

 ワールドマップって、旅って感じするよねぇ。雲の流れてくのがよく見える。

「はあっ、世界って広大だなぁ」
「ふふふ。僕らの知らない場所が、まだまだありますからね」
「早めにエレキテルの用事が終わったら、ヒノクニまで行ってみる? 武闘大会だって。見てみたいよねぇ」

 あっ、十億円発見。
 そうだった。モンスターが出るんだもんね。僕のスキルも発動だ。二、三十歩ごとに十億円。これで、研究費用がいくらかかっても安心だぞ。

 とかなんとか言ってるうちに、出た。出た。やっぱり、出るよね。


 チャララララララ〜
 モンスターに遭遇したときの効果音だ。
 そして、テロップ。


 野生のミニゴーレム(失敗作)が現れた!
 野生のこわれたブリキ人形が現れた!
 野生の鉄クズが現れた!


 ええっ? 鉄クズ?
 それってモンスターなの?
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