第114話 白虎戦2

文字数 1,643文字



「兄ちゃん。どうしよう。これじゃ勝てないよ」
「そうだな」
「なんとかならないのかな?」
「神獣の気は言ってみればバリアだろ。消える瞬間があるかどうかだよな」
「うーん。ずっと消えないと攻撃のスキがないよね」
「かーくん、試しに限界まで攻撃してみてくれるか?」
「うん」

 残り十回。
 カキン。チョップ。カキン。パンチ。カキン。カキン。チョップ。キック。

「やっぱダメだねぇ。ぜんぜん、きかないよ」
「そうか。一定のダメージを与えたら消えるかと思ったんだけどな」
「そうじゃないなら、ターンで消えるとか? ほら、何ターンか持続するバリアってあるじゃん」
「じゃあ、待ってみるか」

 とりあえず、そのあいだ、こっちとしてできることは、身を守ること。

「アジは猫車に入ってて。ミニコは僕を守ってくれるかな?」
「ミー」

 猛も攻撃しないで、たまりんとぽよちゃんに守るを使った。

 白虎のターンだ。
 素早さはこっちが断然早いから、行動回数は一回のはず。
 狩りが来るか?
 それとも気まぐれのなかのどれかか? 猫パンチ? 猫キック?

 どれでもなかった。白虎は首をうしろにまわして背中をペロペロ。

「毛づくろいか!」


 白虎の毛づくろい!
 白虎の幸運が二倍になった。


 うわっ。意外と怖い技だった。

「とりあえず、僕らのターンか。攻撃受けなかったから、よかった」

 でも、神獣の気が消えないかぎり、どうにもならないんだよな。

「兄ちゃん。どうする?」
「とりあえず、ぽよちゃんと、たまりん、後衛にすれば?」
「そうだね」

 これで前衛は僕と猛だけだ。
 すぐに倒されるメンバーではなくなった。
 後衛になったたまりんは、ハープをポロン。ぽよちゃんは、ためる。

 困ったなぁ。
 次はどうしよう。

「まだ、バリアあるかな? ちょっと攻撃していい?」
「いいよ」

 やっぱり、キンキン音がして、まったく傷をつけられない。今の僕らには、まだ勝てる相手じゃなかったかな?

「じゃあ、やっぱり魔法も効かないのかなぁ?」

 僕はなにげなく『燃えろ〜』を唱えた。一番、弱い炎系マジック。
 すると、バリアを通りぬけて、小さい火がちょこっと白虎の毛を焼いた。

「あれ? 今、攻撃きいたね」

 HPを見ると、ほんの25だけど減ってる。

「魔法でなら攻撃できるんだ!」

 いや、違った。
 直後にミニコが「ミミミ〜」と呪文を唱える。ミニコは僕の行動をマネるから、燃えろ〜と言ったんだと思う。でも、その炎はカキンとはねとばされてしまった。

「やっぱりダメだ。なんで、僕の魔法だけ効いたんだ?」

 猛がにぎりこぶしを口元にあてて考える。なんか、なつかしい。まさか異世界でもこの(ポーズ)を見れるなんて。

「かーくん。次は剣で攻撃してみな」
「こう?」

 精霊王の剣をふりおろすと——あっ、行けた! バリアをすりぬけて、白虎のすねをたたいた。HP400減った!

 ミニコもマネしてチョップ。
 でも、それはバリアに阻まれる。

「わかったよ。かーくん。つまり、魔法と物理で交互に攻撃しないといけないんだ。魔法、剣、魔法、剣だな」
「魔法、剣、魔法、剣かぁ。うーん。ミニコは僕の行動マネするから、僕のあとに魔法使ってもらうってことはできないんだよなぁ」

 魔法、剣、魔法……。

「あっ、そうだ!」

 いいこと思いついたぞ。
 僕は大急ぎで精霊王の剣(レプリカ)の柄のまんなかについた大きな宝石をオレンジから真紅につけかえる。

「これでどうだ?」

 白虎の前に立ち、剣を素振りする。赤い石の装備品魔法『燃えつきろ〜』が発動した。おおっ、魔法は500ダメージだ。

 で、すぐあとに走ってきたミニコがポンと白虎をたたく。スゴイ。一撃で4500以上もダメージが。ミニコ強い。ミニコ最高。

「じゃ、次は魔法か」

 僕はまた剣を素振り。
 ミニコがチョップ。
 それを三回くりかえしたら、白虎は咆哮(ほうこう)を残して倒れた。

「勝った!」


 チャラララッチャッチャ〜!
 戦闘に勝利した。経験値10000、10000円を手に入れた。
 白虎は宝箱を落とした。
 白虎の守護石を手に入れた。
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