第45話 盗賊のアジト攻略開始

文字数 1,367文字



 攻略開始〜
 やっぱり『〜』ってつけると、のんびり感あるよね。

 アジトの出入り口だ。
 当然のことながら、見張りが立っている。そこそこ強そうな男二人。

「山賊と海賊ですね。レベルは30。さっさとやっつけてしまいましょう」と、蘭さん。

「いや、待て。侵入者があったと伝われば、ゴーレムを移動されてしまうかもしれない。なるべく見つからないほうがいいな」と、これはワレスさん。

 あっ、この感じはトリプルヘッドになりそうだ。僕はおとなしくしとこう。意見がわれて身動きとれないんじゃ困る。

 なので、答えたのは蘭さん。
「でも、それじゃ、どこから入るんですか? 上にあるっていう、もう一つの入口?」

 それだと、山をのぼらないといけないなぁ。ダンジョン攻略の前に山のぼり、ヤダな。

 すると、そのときだ。
 なかから人が出てきて、見張りの二人に近づいていく。
 あれって、この前から三村くんのまわりをチョロチョロしてる少年じゃないかな。ツボを片手に男たちと何か話してる。

 あっ? 見張りがツボを口につけて何か飲んでる。たぶん、お酒だよね。ああいうときって、たいていは眠り薬入り……?

 見てるうちに、見張り二人は倒れた。ぐうぐうイビキの音まで聞こえてきそう。

 これってどういうことだ?
 すると、少年はなかの誰かに手招きした。ゾロゾロと数人の男女がやってきて、少年にペコペコしながら出ていった。あわてふためいて走っていく。

「盗賊に捕まってた人たちを逃がしたって感じですね」

 あっ、僕、おとなしくしてられなかった。思わず、口が。

 ワレスさんの目が笑ってる。
「そうだな。とにかく、今のうちに侵入しよう」

 少年はとっくに洞くつに帰っていったあとだ。
 僕らは見張りのいなくなったアジトへ、やすやすと入っていく。

 あの子、やっぱり悪人じゃないね。盗賊団になんかいるけど、深いわけがありそうだなぁ。

 さて、アジトの内部は、ワレスさんが言ったとおり、アリの巣状。ポコポコ丸い部屋が細い通路でつながっている。天然の洞くつに人間が手をくわえた感じだ。

「ギガゴーレムはどこに置いてあるんですか?」

 聞いてみると、ワレスさんは黙って天井を指さす。
 上部にあるってことか。
 ここもグルッとダンジョンまわっていかないと、目的地まで到達しないんだろうなぁ。

 それにしても、盗賊団のアジトにしては、なんにも置いてない。宝箱皆無。敵が出るから金貨は落ちてるんだけどさ。
 いったいどのくらいの人間が暮らしてるのか知らないけど、見たところ食べるものにも困ってるんじゃないだろうか?

「原始人の穴ぐらみたい」って、蘭さんは残酷にも正直だ。

「そうだな。街や金持ちを襲って、毎晩飲んだくれているってわけじゃなさそうだ。どうも妙だな。気をつけろ」

 ワレスさんがそう言ったとたん、僕はかどをまがろうとして、薄汚れた盗賊と出くわした。


 チャラララララ〜
 野生の盗賊が現れた。


「気をつけろと言ったのに」
「すいません!」
「まあいい。仲間を呼ばれる前に倒そう」

 やっぱり出るんですねぇ。
 戦闘だぁ。


 チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャンチャン!


「先制攻撃!」

 スパンとムチが鳴る。


 盗賊は倒れた。
 経験値150、30円を手に入れた。
 盗賊は宝箱を落とした。
 秘宝の地図を手に入れた。

 は、速い!
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