第169話 セイラ姫、救出!
文字数 1,384文字
チャラララッチャチャ〜!
グリーンドラゴンA、Bを倒した。市松人形A、B、Cを倒した。経験値6750、4600円を手に入れた。
グリーンドラゴンは宝箱を落とした。グリーンドラゴンのマントを手に入れた。グリーンドラゴンのウロコを手に入れた。市松人形は宝箱を落とした。お札を三枚手に入れた。
グリーンドラゴンの魂二つを手に入れた。
市松人形の魂三つを手に入れた。
「わ〜、やったー! なんかよさげなもの、いっぱい、もらえたねぇ。グリーンドラゴンの魂二つだって」
「二回倒したからだろうな」
「市松人形の魂もめちゃくちゃ助かるよ。これ、ぽよちゃんに覚えてもらおう」
封じ噛みができるようになれば、すごく活躍できる。それに隠れるって特技、暗殺者の職業では覚えなかったんだよね。アンドーくんは使えるのに。あれは特別な訓練を受けてたせいなのかも。復活してすぐに動ける全体蘇生術も強力だ。
「なあ、かーくん」
「うん。何? 猛」
「グリーンドラゴンの魂、一個、おれにくれないか? 兄ちゃん、まだグリーンドラゴンにはなったことないんだよな」
むう……まあ、しょうがないか。グリーンドラゴン二回とも倒してくれたのは兄ちゃんだし。
「はいよ。じゃあ、一個あげる」
なぜか、ミャーコポシェットから出てきたときには、やっぱりツボ。
「そうだ。ヤドカリンやタコツボを倒したら落とす変なツボを合成したら、無職のツボになるんだった。前にあるだけ合成したんだよね。無職のツボ持ってると、勝手に魂が入るんだね」
「便利だなぁ」
無職のツボはまだまだあるからよし。
「レッドドラゴンとグリーンドラゴン。僕もマスターしようかなぁ。ブレス攻撃しか効かない敵が出てきたとき、知ってたほうがいいよねぇ」
そしてそのとき、必ず猛がそばにいるとはかぎらない。ぽよちゃんはたいてい、いてくれるけど。
「にしてもさ。アジ、よくわかったね。算術で市松人形倒せるって」
アジは得意げだ。
「算術は味方単体に効果つける技なんだけどさ。そのターンの攻撃を必中にしてくれるんだ。だから、もしかしたら、見えない相手にも効くかもって」
「必中攻撃か。なるほどね」
やっぱりアジは学者向きだな。個人の特技にもお医者さんってあったけど、もしかして回復系の技かな?
そのとき、ピカーッとグリーンドラゴンの像が光った。
ま、まぶしい。
なんだなんだ? しゃべるのか?
いや、違った。ゴゴゴと大きな音を立てて壁がひっこみ、隠し通路が現れる。
「あっ、奥に行ける!」
「すぐそこにドアがあるぞ」
きっと、お姫様の監禁場所だ。
「行ってみよう!」
ワクワク。綺麗だったもんなぁ。青蘭。ほんとの世界では男なんだけど、こっちでは女の子みたいだし。まあ、青蘭は性別ないようなもんだから。
ほんの二メートルの通路のさきに、頑丈そうな木の扉があった。鍵はかかってない。
「あけますよぉ」
声をかけておいて、そっと押す。和式だから、なかに押すタイプのドア。
やっぱり室内だ。畳の一部が見えた。
なかから光がもれる。
お姫様はいるかなぁ?
そこは十二畳の座敷だ。
キンキラキンの豪華な調度品。大奥のなかだね。
だけど、これはなんだろうか?
うーん。ここで見るとは思ってもなかった光景が……。
「…………(僕)」
「…………(猛)」
「あれ? かーくん。来てくれたんですか?」
蘭さんがいるんですけど?