第298話 豪のゴドバ戦(進化)6
文字数 1,340文字
これまで、つまみ食いやレベルアップや、レベル1に戻して鍛錬したり、いろんな方法で強くしてきた力が、一瞬でゼロに——
「兄ちゃん。なんで気絶してたの? 猛が失神してるあいだ、すごく大変だったんだけど」
「兄ちゃんにもよくわからない。なんか、強い力にひっぱられるように深いところにつれていかれてさ。何かが呼んでるって言うか。それよか、今、大変じゃないか? 力がゼロだよな?」
「うん。全員そうだよ。ゴドバに吸血された」
「つまみ食いだ。とりかえそう!」
「でも、つまみ食いは僕ら兄弟しか使えないし、吸血の指輪も一個しかないし……」
僕と猛とぽよちゃんの力はマックスの99999だった。
つまり、今のゴドバの力は最低でも30万。
そう言えば、さっき、魔法攻撃されてるから、白虎の守護も切れてる。次に直接攻撃されたら、僕ら今度こそ全滅だ。
「現状で『のっとられた』ら、おしまいだぞ。ぽよちゃん、かーくんの順で力を奪え!」
「うん」
その直後にのっとられた。
すぐに猛がのっとり返したけど、きわどい。こんな緊張感のただよう戦いは初めてだ。いつ全滅するのかとヒヤヒヤする。
「のっとってしまったから、兄ちゃんの行動順だな。兄ちゃんから、つまみ食いするぞ?」
「いいよ」
「つまみ食いー!」
エアパクパク。
これで猛は99999。
次いで、ぽよちゃん。吸血〜!
最後に僕がつまみ食い。
でも、やっぱり、ほかのメンバーの力はゼロのままなんだよな。あとで僕が小説を書くで数値をあげることはできるけど……。
「そうだ! 次に吸血されたとき、ランク5のままだとヤバイね。ランクを落とすことはできたから、そうする」
「そうだな」
ゴドバが怒って、またランクアップしたら意味ないんだけど、それでも何も対処しないよりはマシ。
僕は急いで、ゴドバの吸血ランクを3まで落とす。ほんとはランク1まで下げたかったけど、それはできなかった。エラーだ。
「電力が10%減ったよ。下方修正には電力かからないはずなのに」
「ゴドバが抵抗してるんじゃないか?」
「ああ、そうかも」
相手の受け入れる気持ちがないと、電力がたくさん必要なのかもしれない。
それにしても、僕ら三人以外が戦えなくなってしまった。
いつまで、こんな不毛な戦いを続けなくちゃならないんだ?
「はぁ……力が出ぇへんわ。なんや、だるい」
「体が重いよね」
「ダイコンもひっぱれない気がします」
ダイコン? トーマス、どっからダイコン出てきた?
トイやラブもグッタリしてる。力がゼロだと戦う気力もなえるらしい。
「吸血がランクアップしたのも、進化のせいかな?」
「進化? ああ、なるほど。ヤバイ技だな。強化ってことなら、あの特技のせいだろうな」
「だよね……」
ゴドバが進化するかぎり、つねに僕らはピンチだ。
冷や汗が服の下を流れる。
やつが変な進化する前に、せめて断捨離くらいはしとくべきかな? もうそれくらいしか、できることがない。
僕らは99999までしか力増えないのに、ゴドバは無限大に増加するから、それに対抗するには断捨離しかない。
とは言え、ほんとに倒すと、もっと強くなってしまう。
ああっ! この堂々めぐり!
いいかげん、戦闘に疲れてきた。
そのときだ。
空の端から何かが近づいてきた。