第248話 ブタさんのご飯
文字数 1,556文字
よし。まずは食堂だ!
ブタって食べるの好きそうだから、きっと油断してる。話を聞くには最適の場所だ。
「食堂に行こうよ。そのあと詰所行って、出口の場所探そう」
「キュイキュイ」
「そうですか。では、そうしましょう」
僕らは食堂へと入っていく。
なかは活気にあふれてる! あふれすぎてて暑い。
室内には百匹のブタ……いや、オークがいた。みんな、テーブルに大皿をならべて、両手でかかえこむようにしてエサ……いや、ご飯をがっついてる。
ご飯は、なんだろ?
ゆでたトウモロコシとか、オートミールのようだ。
そっか。ブタさんって草食性なのかぁ。まあ、ブタに豚肉食べさせるわけにいかないよね。草原のぽよぽよが丸焼きにされてたら、僕、泣いてたよ。草食なら襲われて食われる心配はない。
「ねえねえ、ちょっと聞きたいんだけどぉ」
一番手近なブタさんに声をかける。そのとたんだ。
チャララララ……。
オークAが現れた!
オークAは怒り狂っている。
「ええ? 戦闘になっちゃったんだけど?」
「かーくんさんの聞きかたが悪かったのでは?」
「いやいや。そんなことないよ? 愛想よかったよ?」
「でも、怒り狂ってますよ?」
「うーん。変だなぁ」
あっ、とりあえず戦わないと。ずっと音楽鳴ってる。
「えっと、僕がたたいてもいい?」
「キュイ」
「じゃ、えい!」
パコンと素手でなぐると、ブタさんは失神した。
すると、となりのヤツが倒れたブタさんの皿に顔をつっこんだ。
チャララララ〜ン。
オークAを倒した。経験値五百、二百円手に入れた。オークは宝箱を落とした。オークの鏡を手に入れた。
「はぁ……なんだったんだろね。あの、すいませーん。ちょっと話、いいですか?」
チャララララ……。
オークAが現れた!
オークAは怒り狂っている。
「ええー? なんでェー?」
「やっぱり、かーくんさんが悪いんじゃ?」
「次さ、おれが話してやるよ。な? 気にすんな」
なんか、トーマスとラフランスさんに責められてる。
「ラフランスさん、人嫌いでしょ? 話なんかできないでしょ?」
「嫌いじゃない! あと、ランスって呼べ」
「じゃあ、ここは僕が倒しとくけど、次はランスがやってみてよ」
「接客業なめんな?」
「いや、僕だって接客業なんだけど? お客さん満足度100%だよ?」
とりあえず、たたく。パパンとな。
チャララララ〜ン。
勝った。また変な鏡、手に入れた。
さらによこのブタさんが倒れた二匹の皿をたぐりよせてる。コイツら、仲間が倒れたことをなんとも思ってないなぁ。
「あっ、そう言えばさ。かーくん。おれも、ぽよちゃんみたいに知力ふりきりたいなぁ。戦闘ごとにレベルさげてくれよ」
「あっ、私もお願いします」
「……もしかして、だからついてきたの?」
「えっ? そ、そんなんじゃないけどさ」
「ち、違いますよ?」
まあ、たしかに人それぞれ基本伸び率って違う。レベルアップをくりかえすと、伸びやすい項目はガンガンあがることになる。
オーク一匹500経験値でも、一回戦闘で3レベルはあがるよね。それを百回くりかえすと300レベルだ。
「わかったよ。じゃあ、はい。レベルリセットしたよ。僕はレベルは今のままで、つまみ食いしよっかな。ぽよちゃんは知力を吸血してね」
「キュイ」
まあ、お城のなかじゃ、そうそう戦闘には——
「ちょっと、あんた。話いいかな?」
チャララララ……。
オークAが現れた!
オークAは怒り狂っている。
「ランスがやっても襲ってくるじゃん!」
「ええ? なんでだろう? おれの接客術が通用しないなんて」
いやいやいや、あんたの接客、なってないからね? 客がそばによれないよ?
それはそれ。
またまた戦闘だ。
このあと、僕らは百連戦した。そう。誰も会話にならなかった。
なんでぇー? ブタさん、すぐ怒るよぉ。