第270話 あばれてるのは?

文字数 1,426文字



 はい。書いたとおりになりました〜!
 ふえ子の名前が長ったらしくなっちゃったけど、まあいいや。なんか、ノリでさ。

「これ、かーくんの力なのか?」
「へへへ。スゴイでしょ」
「うん。スゴイな。戦闘がどうこうじゃない。運命を変えられる力だ」

 猛の賛辞をあびるのって気持ちいいなぁ。現実じゃ圧倒的に、猛のほうが優秀だからさ。

「それにしても、まだ弱ってる。しかし、このままじゃ運べないな」と、ワレスさんが言うので、僕は提案した。
「コビット王の剣で小さくしたら、馬車に乗るんじゃないですか?」
「そうだな。クピピコ、たのむ」
「クピっ! クピピコ、コビットコン、ピクコピ、ピラー!」

 クピピコがコビット王の剣でなんとかかんとか。行きまーす!

 プチッと刺されて、ふえ子のお母さんはちぢんでいく。とりあえず二メートル弱になったんで、これで馬車に乗せられる。ふえ子といっしょにワレスさんたちの軍用馬車の屋根に乗った。軍用だから頑丈な造りなんだな。

 これでやっと安心だ。
 あとはゴドバさえ見つけて、やっつければ。グレート研究所長もね。機械をこわしても、アイツがいると、また同じの作るだろうし。

 それにしても、やけにドンドン響くな。なんだろな。

「あの、ワレスさん。さっきからずっと壁をたたいてたのは、あなたがたなんですよね?」
「いや。ずっとではない。壁を破壊するために、ほんの二、三度たたいただけだが?」
「えっ?」

 ……イヤな予感。

「なんか、ゆれてませんか?」
「ゆれてるな」

 なんでこう、みんな落ちついてるんだろうなぁ。こういうときって、絶対、悪いことが起こるよね? ムダに自信のある人たち!

「ははは。かーくんは怖がりだなぁ」

 猛! おまえもだからな! ムダに自信!

「いや、待て」と、ワレスさんは真剣な顔つきになる。
「あの暗がりに、何かがいる」
「……えっ?」

 やっぱり?

「おれには見えないなぁ。でも、そう言われれば、変な気配はする」

 言いながら、猛は暗がりへ歩いていく。
 バカだなぁ。兄ちゃん。行くなよ。ホラーじゃ、たいてい、無防備に近づいた人が最初の犠牲者になるんだぞ?

「気をつけろ。壁のむこうに、とてつもなく巨大なものがいる」

 司書長が感情を抑制した、けれど緊迫した声で告げる。
「床をごらんなさい。禁じられた古代魔法の陣です」

 床? なるほど。たしかに暗がりのあたりに模様のようなものが描かれてる。

 キヨミンさんが馬車から顔を出した。

「あのぉ、それ、魔改造されたゴドバです。近づかないほうがいいですよ? うちの本編なみにキモイですから」

 うッ。さらりと爆弾発言を!

「ゴドバだって? いるのか?」
 問いただしたのは、ワレスさん。キヨミンさんは当然の顔して、うなずく。
「キモイですよ〜」

 ワレスさんは走っていく。
 いやいや、待ってくださいよ。まだ心構えが……。

 でも、しょうがないんで、僕らも追っていく。

 暗がりに近づくと、壁があった。いや、壁っていうか、壁にかこまれた部屋というか、かなり巨大なボックスみたいなものだ。高さは五十メートル? 幅や奥行きは三十メートルくらい。壁の一部が部屋みたいに出っぱってる。

 ズシン、ズシンとさっきから響いてるのは、そのボックスだ。
 なかで、何かがあばれてる……? えっと、ゴドバ? ゴドバなのかな?

 と、そのときだ。

「な、なんだ、おまえたちはッ? なんで人間がおるんだ! ブヒッ!」

 ん? なつかしのブヒッ。
 グレート研究所長がかけつけてきた。
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