第279話 (ぽよちゃん対)豪のゴドバ戦1

文字数 1,735文字



 ぼくはぽよ。
 ぽよぽよ族のぽよ。
 ぽよぽよ族は弱いとか、可愛いだけとか、草原で一番美味しいモンスターとか、ほかの魔物たちからバカにされている。

 でも、ぼくはかーくんに鍛えられて強くなった。
 ぽよぽよ族の王。ぽよぽよ王だ!
 絶対に負けないぞ。

「ぽよちゃん。あれはゴドバよ。前に見たときの名残がある。ゴドバが禁じられた力で強化されている」

 たまりんさんがそう教えてくれた。たまりんさんは、とてもかしこい。精霊族の血をひく女の子なんだけど、今は火の玉だ。たまりんさんには失われた古代の知識があるから、なんでも知っている。

「禁じられた古代の力?」
「そう。あまりにも強力な魔法なので、禁じられたの。一部の神獣の持つ不死性を抽出して吸いとることによって、自分自身が不死を得る魔法」
「そんな魔法がっ?」
「今のゴドバは不死の化け物になってる。倒すには勇者の力が必要だけど……とにかく、かーくんたちが戻ってくるまで、村を守りましょう」
「わかったよ。聞き耳!」

 いつものように聞き耳をすると、ゴドバのレベルは……ハッ! レベルが99だ。つまり、レベルマックス!
 しかも、HPは見たことのない変なマークになってる。8がよこになったやつみたいなの。力は二万。体力は四万。知力は……千しかない。素早さや器用さ、幸運は一万だ。

「たまりんさん。コイツ、とんでもなく強いよ。どうするの?」
「そうね。強い。わたしやアジたちの数値ではまったく歯が立たない。力マックスのぽよちゃん、あなたの攻撃しか効かない」
「うん。そうだね」

「それに体力は高いけど知力が低いから、魔法のダメージのほうが大きいわね」
「ぼく、あんまり強い攻撃魔法を知らないんだ」

「わたしは知力は高いけど、素早さが遅い。賢神のハープ装備ボーナスで二回よぶんに動けるけど、無限大のHPをどこまでけずれるかって言えば、効果は低いかもしれない。あなたがアルテマハイテンションになれば、かなりの大打撃をあたえられるんだけど」

「アルテマハイテンションになるには四回ためないといけないよ。それに、必ずアルテマハイテンションになれるわけじゃないし」

「困ったわね。とりあえず、ぽよちゃん。あなたはスピードファイターで自分の素早さをあげて。たくさん動けるようになったら、今のままで、どのくらいダメージをあたえられるかアタックをかけてみて。わたしはハープの効果でいつものように、みんなを支援する」
「うん。わかった。スピードファイター!」

 スピードファイターはかーくんのブーツと同じ効果だ。一回この魔法をかけると、魔法消去のアンチ魔法をかけられないかぎり、戦闘中ずっと効果が持続する。

 ぼくの素早さはマスターボーナスをふくめて四万。もとのままでも、ゴドバより早い。ちょっとウロウロすると、もう素早さは限界値を超えた。クルクル走りまわれば、さらに速くなる。

「よしっ! たまりんさん。ぼく、これで十回は動けるよ」
「じゃあ、ぽよちゃん。一回、ふつうに攻撃してみて」
「うん! ぽよぽよアターック!」

 ぼくはするどい爪で敵を切り裂いた。ギャーッと巨大な敵が雄叫びをあげる。
 どうだ? HP、減ったかな?

「だ、ダメだよ。たまりんさん。まだあの変な8の字だ」
「ぽよちゃんの今の攻撃は四万以上のダメージをあたえた。それでも無限大のままHPが減らない……問題はどのくらいまで99999を超過してるかね」

 難しいことはわかんないけど、ぼくの攻撃が少しはきいてるってことか。

「次はどうする? たまりんさん。アジやトーマスじゃ、アイツにダメージあたえられないよ」

 ふっ。たよりにならない弟分だな。ぼくがやらなくちゃ!

「トーマスさん。なんか、ぽよちゃんに見くだされてる気がするよね」
「ははは……そうかも、しれない」

 弟分たちがコソコソ話してる。
 二人はしっかり、ぼくの援護をするんだ。

「じゃあ、ぽよちゃん。次はブレスを試してみましょう。まず、火の結界のあと、雄叫び。それから、ギガファイアーブレスよ」
「わかった!」

 たまりんさんに言われたとおり、ぼくはやってみた。
 けど、ダメだ。ブレスは99999のダメージをあたえた。なのに、まだあの変な8だ。

 こ、コイツ、どんだけ強いんだ? キュイ……。
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