第50話 三村くん(起動中ギガゴーレム)戦3

文字数 1,662文字



 僕の考えを、ワレスさんが肯定する。

「ギガゴーレム、防御力十万だな」
「じゅ……十万ッ?」
「攻撃力は五百」
「えっ? 少な……いわけじゃないのか。十万が異常すぎて少なく思えるけど、ラスボスなみに強い」

 ギガゴーレム、なんなんだ?
 いくらボスだからって、強く造りすぎだって。

「じゃあ、僕の攻撃は……」

 試しに足パタパタして素早さをあげたあと、精霊の剣で切りかかった。僕の攻撃力、魔法使いのマイナス補正で258。防御力十万に対して、ダメージ1!

「1かぁ……」

 むしろ、ワレスさんや蘭さんのスゴさがきわだつね。
 そっかぁ。1000ダメは五万攻撃力のおかげかぁ。

「これはもう、僕やアンドーくんやモンスターたちの攻撃力じゃ……」

 あっ、話してる最中にミニコが動いた。そうだった。僕の行動のマネするんだった。

「ミー!」

 ふつうに空手チョップ。
 ミニコの攻撃は15ダメージ。そうか。攻撃力3000で15ダメかぁ。武器、持たせてあげとけばよかったか。

 ん? でも待てよ。
 僕の精霊王の剣(レプリカ)は装飾品魔法を自由に取り外し可能。今は『みんな、がんばろ〜』の石を入れてある。しかもこの剣の装備品魔法は、僕が攻撃すると自動で発動。つまり、僕が精霊王の剣をふるたびに、みんなに攻撃力アップ魔法がかかる。

「ちょっと待ってください。素早さマックスまであげますんで」

 その場で足ふみふみ。
 地団駄ふんだ子どもみたい。
 いいもんね。ジタバタするもんね。

 僕の今の素早さは315。流星の腕輪で倍になってるから、じっさいには730。
 風神のブーツでは1000%まで素早さをあげてくれる『まきで行こう〜』が重ねがけできる。

 つまり、素早さマックス7300だ。ふつうの敵なら六、七十回は行動できる。
 ギガゴーレムはボスだけど、見ためから言って素早くは見えない。たとえ速いとしても、ワレスさんが十五回も動けたんだから、僕はもっと動けるはず。

 僕は連続でギガゴーレムを攻撃する。最後の一回で傭兵呼びをするつもりだった。傭兵呼びすると、そのあと動けなくなる。

 ワレスさんの素早さは補正がかかっても1500くらいだったと思う。なら、僕はその五倍は動ける。

 僕が攻撃すると、そのたびにミニコも攻撃する。がんばろ〜効果で、ほんのちょびっとだけど、けずれるHPも増加する。

 五、六、七回——
 まだまだ動けると思ってたときだ。
 急に僕の動きは止まった。

「あ、あれ? もう動けない?」
「そうだろうな。ギガゴーレムの素早さは1000だ」
「えっ? でも、ワレスさんは十五回、動きましたよね?」
「ああ。おれは戦闘中——」

 ところが、そのときだ。
 とつぜん、蘭さんが叫んだ。

「あああああーッ!」
「な、何? ロラン」
「僕の体力が……」
「体力?」

 二度の鉄クズ軍団戦を得て、やっとステンレス板まで戻った蘭さんの体力。機械仕掛けのハープの効果で、最初の二ターンさえしのけば、防御力は倍になる……。

 と思ってたんだけど、それにしては蘭さんが大さわぎしてる。確認してみた僕は自分の目を疑った。

「体力……5?」

 あッ! 蘭さんのレベルが低い。28に戻ってる。

「そうか。僕の

が昨日の研究所攻略前で止まってるから」

 えっ? じゃあ、今のこの文章は何かって? そんなのスマホが充電できてから書いてるんだよ。じっさいの僕は今、ヒノクニにいる。でも時間ないから、とりあえず急いで、このくだりを書き進めないと!

 ワレスさんは冷静に分析する。
「一晩休んだからだな。おそらく、宿で休憩すると、バグが起こった直後まで、ステータスがリセットされる」
「ああああああーッ!」

 ああ……せっかく昨日、レベル、ガンガンあがったのに、これじゃ意味がない。早くスマホ充電して、ちゃんとなおすまでは、ずっと紙防御なんだ。

「ロラン。これが終わったら、ホムラ先生のとこに行こうよ? 充電器、できてるかもしれないからさ」
「はい……」

 さてと、そうなると、なんとかして蘭さんを守らないと。
 ギガゴーレムの力500の攻撃くらったら一大事だ!
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