プロローグ

　えーと、もう半年も前になるかなぁ？　ん？　もしかして一年？
　えっ？　そんなに放置してたっけ？
　いやぁ。平凡に京都五条の町屋に暮らしながら、ショップ店員の毎日をすごしてたもんだからさぁ。

　あの変な夢を見てから、けっこう経った。なんかコタツでうたたねしてたら、ゲームみたいな異世界に召喚されて、兄ちゃんや蘭さんや三村くんたちと、魔王を倒す旅なんかしちゃってさぁ。
　そんな夢……。

　うーん。久々のコタツはやっぱり眠気をそそるよねぇ。
　ねむねむ……ねむねむねむ……。

　なんか、変なものが見えるなぁ。
　前のときに似てる？
　今度はなんだ？

　やけにワアワアさわがしいなぁ。まわりにすごい数の人がいるぞ。これって観客？
　うん。でっかいアリーナっぽい場所だ。大勢の人間が僕らをかこんで熱狂してる。

　あっ、むこうの入口から四人組みが出てきた。強そうな戦士だ。僕たちを挑発するように指さきで手招きしてる。

　そして場内アナウンス——

「ただいまより、世界最強武闘大会、開幕です。赤組は昨年の準優勝パーティー。対するは今年初挑戦のロランパーティー。さあ、勝つのはどっちだ！　全力の戦いを我々に見せてくれ！」

　わあっわあって、歓声がスゴイなぁ。
　そっかぁ。今回は武闘大会なんだぁ。楽しそうだなぁ。

　むにゃむにゃ……むにゃむにゃむにゃ……。