第225話 名人墓場の奥

文字数 1,364文字



 朝になった。
 名人墓場に行く前に、僕はエレキテルで研究所によった。一日一回しか充電できないからね。

 その前に、バーサーカーのマスターボーナスで幸運値がまた10%増加したので、余剰ぶんを知力に足しておく。基本は知力が一番伸びやすいのに、つまみ食いの爆食いにはまったくおよばないんだねぇ。いつのまにか、もっとも低いステータスになってたからだ。幸運を83333にして、知力を8346に書きかえる。幸運値はボーナスこみで99999をキープだ。

 ちなみに僕の今の数値は、これ。

 レベル26(パリピ)
 HP4880『4234』[5856]、MP1443『859』[1515]、力15652『15522』[18782]、体力11581『11345』[13318]、知力8346『302』(7511)、素早さ25977『25701』[31172]、器用さ30066『20607』[33072]、幸運83333[99999](99999)

 職業がパリピなんで、就労補正のせいで、知力がマイナスになっちゃってるけど、これは一時的なものだ。
 昨日、スリーピングからチューチューした素早さや器用さがいかに高いかわかる。
 どんどん強くなってくなぁ。僕。

 電池残量がもったいないんで、ついでにミニコの数値を書きかえてみた。全ステータスに二万ずつ足しておく。これで使用電力は10%だ。数字をちょっと足しただけだから、あんまり電力使わないんだな。ミニコは装備品あつかいだから、モンスターより改変がかんたんみたいだ。

「はい。使用料百万円だよ」
「わかってますよ」

 もしかしたらギャンブルの遊興費になるのかもしれない代金を、ホムラ先生に渡す。

「では、使いなさい」
「痛くないですよね?」
「そこは信頼だ」
「むう……」

 レバーを押したけど痛くなかった。いちおう、なおってる。

「よし。じゃあ、名人墓場へ行こう!」
「おお!」
「キュイー!」
「ミー!」

 墓場までは魔法で行ける。しかも、王墓前に飛べば、そこから奥のわかれ道までは近い。二又のとこまでは、ゾロゾロ歩いていっても、あっというまだ。

「あっ、ここだねぇ。こっちの奥だ」
「ゾクゾクしますね。強い敵がいます。最奥の魂は……あれ、なんだろう? 僕もこれまで感じたことない気配です」と、蘭さんが言う。

「強い?」
「強いです。ものすごく。ただ、そのほかにもたくさんの気配がありますね」
「ほかにも出るんだ」
「用心しましょう」

 無職のツボはまた五百個買ってきた。これなら今日一日はことたりるだろう。

「じゃあ、行くよ」

 カンテラの光のもと、暗闇のなかへ足をふみだす。
 昨日はそこまで行かなかったけど、たしかにしばらく進むと扉があった。ただ、王墓のとこにある巨大な両扉にくらべれば、造りがお粗末だ。キレイな浮き彫りはなく、ただ頑丈なだけの鉄の扉がとりつけてある。

「この扉は造られたのが最近なんだね」
「なかに人が入らないようにふさいだって言ってましたよね」
「それだけ危険なんだよね。じゃあ、鍵をひらくよ」
「はい」

 両扉のまんなかに大きな錠前がかけられている。昨日、王様からもらった鍵をさしこんだ。錠前を外す。扉に手をかけると、ギギィーっと静寂のなかに音を響かせた。お化け屋敷感ハンパない!

 ドキドキドキ。
 さあ、行くぞ。
 何が待ってるのかな?
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