第297話 豪のゴドバ戦(進化)5
文字数 1,382文字
「アジの特技、見せて!」
「へっ? いいけど?」
どれどれ。アジの特技はっと?
お医者さん
たまにランダムでパーティーメンバーのHPを自動回復
本を読む
戦闘中、ターン経過で自動発動。知力をあげる効果。
理系
ランク1 すべての魔法効果が10%あがる。
ランク2 すべての魔法効果が30%あがる。
ああ、この感じだと、理系以外はランクアップしないやつだなぁ。自動回復とか、知力をあげるとかもありがたい特技ではあるんだけど、どうせなら、ランクアップしてほしい。書きかえだ!
*
お医者さん
ランク1 たまにランダムでパーティーメンバーのHPを自動回復
ランク2 医学の知識で、パーティー全体のブレスダメージを50%やわらげる。毎ターン初めに自動発動。
*
「あッ! かーくん。おれの特技がランクアップしてる! ブレス攻撃のダメージが半減するよ!」
ふふふ。これで、アジはパーティーにいるだけでブレス緩和要員になった。やったね。僕。
スゴイのは毎ターン自動発動なとこ。これなら、万一、打ち消し魔法で効果を消されても、次のターンで復活する。
それにしても、スマホの充電量がグングン減るな。やっぱり、特技の書きかえは電力たくさん使う。
残り電池量50%か。携帯バッテリーもあるから、それとあわせて150%だ。まだ行ける。
ゴドバはさっきから特技が劣化していくんで、イライラしてるみたいだ。ただ、僕の仕業だとは気づいてないだろう。
そうだ! たまりんのハープもちょっと手をくわえようか。
月光のセレナーデ
奏者の知力の三倍までの攻撃魔法ダメージを吸収するバリアを張る
詩神のハープの一番めの装備品魔法なんだけど、これをこうっと——
*
月光のセレナーデ
奏者の知力の五倍までの攻撃魔法、ブレスダメージを吸収するバリアを張る
*
へっへっへっ。へへ。ふっ。
たまりんの知力は三万だからね。これで十五万ダメージまでのブレスは完璧にふせげるってこと。しかもアジがいれば、ダメージじたいも半減。
三村くんは新しいタケル人形を製造。
ちなみに、猛自身は『みんな、死なないでェー』でも意識をとりもどさない。戦闘のせいじゃないって確定だ。
兄に何が起こってるんだろう?
猛、ここでは竜人らしいからね。まさかと思うけど、進化してドラゴンになったりしないよね? うーん。さすがにそれはちょっと……困る。食費が異様にかかるし。
あとのメンバーは強化魔法で防御をかためたり、身を守って行動を終える。
ゴドバの番だ。
ヤツがあせってるのがわかる。怒り狂ってる。
「ムオオオオオオーッ!」
奇声を発したと思うと、大きく息を吸いこんだ。
またブレスか? ち、違う! 力が吸いとられていく……。
僕らはパーティー全員、突風に包まれて、なぎ倒される。竜巻にまきあげられるように足が宙に浮いた。
そして、その風がやんだときには、力の数値がすっかりカラになっていたのだ。
「かーくん。力が出ぇーへん」
「私もです」
「キュイ……」
ようやく、猛も目をさました。
「兄ちゃん!」
「……なんだ? おれ、力がゼロになってるぞ?」
吸血だ。ゴドバの吸血がランクアップしてる。
吸血ランク5
敵全体から任意の項目の数値を100%吸血する。吸いとった数値は戦闘終了後も減らない。
や、やられた……。
僕たち、全員、これじゃ戦闘力ゼロだ。