第187話 特別試合4

文字数 1,611文字



 さあ、僕らの番だ。
 素早さで言えば、挑戦者三組のなかで、僕らのパーティーが一番早い。

 けど、最初に動いたのは、ゴライ。身を守ってる。仲間が攻撃して石化されたことで用心してるんだろう。反射カウンターさえあれば、自分が行動しなくても、相手が自滅してくれるからね。

 けど、そんなこと、ワレスさんが計算してないと思えないんだよな。ワレスさんって、かなりの策略家だよ?

「猛。行こうか?」
「待て。蘭たちがどう動くか見てみよう。あっちの効果をうまく利用できるかもしれない」

 ここにも策略家いた。

 蘭さんたちは察したようだ。蘭さんが行動しようとする。
 なんだけど……なんか、ようすが変だぞ? ケロちゃんとクマりんがフラフラと歩いていく。

「あれ? 何してるんだろ?」

 ケロちゃん、クマりんはパパもひきつれて、ワレスさんのほうへ歩いていく。なんか、あやつられてるっぽい? クマりんなんかファミリー呼んで、合体し始めるんだけど。超巨大グマ出現だ。

「あっ? アジっ? どうしたの?」
「し……しびれた。カッコよすぎ……」

 こ、これはもしや……マヒにかかってるのでは?
 ということは、クマりんたちは魅了?

「あっ、むこうも、アンドーくんが動けないみたい。金縛りだ」
「スタンだな」
「ワレスさん、なんかしたかな?」
「かーくん。見ろ。アイツの生来特技に超絶美形ってのがある」
「超絶美形だからね」
「戦闘中、一定の確率で、敵をスタン、魅了、麻痺のいずれかにする。これのランク4が確率100%だ」
「100%?」
「そう。装備品で防御してないメンバーは、確実に魅了、マヒ、スタンのいずれかになる」
「ん? ということは……」

 僕が見ると、ぽよちゃんは金縛りにあってた。スタンだ。僕とたまりんはアクセサリーで全状態異常から守られてるし、猛は自分の特技で異常にならない。

「トーマスパーティーは、バランと蘭さんだけか。バランは守りは固いけど、攻撃技はほとんど持ってないよ。蘭さんの攻撃力をいかして、通常攻撃するしかないだろうね」
「じゃあ、さきにこっちが試すか。たまりんに三連続でハープ弾いてもらって、そのあと、おれ、かーくんで行動をする」
「わかった!」
「ゆらり!」

 ぽよちゃんが動けないのが残念だけど、しょうがない。

 ポロン、ポロロン、ポロポロロン〜。
 会場に場違いに美しいハープの音色が響き渡る。
 僕らは力が二倍になり、詩人支援で動けるようになる。
 さらにたまりんがもう一度、ハープを弾くと、詩人のバラードですべての装備品魔法が発動。詩人支援がもう一回かかる。

 たまりんは増えた行動数で、あと二回ハープを弾く。月光のセレナーデと小悪魔のワルツが発動。
 これだと、次のターンでも竹林のエチュードが出せるから、詩人総攻撃がまた二回できる。

「火の結界! ギガファイアーブレス! ギガファイアーブレス!」
「小切手を切る! 小切手を切る!」

 いくらなんでも、やれたんじゃないの?
 猛の二倍になったギガファイアーブレス二回で、八千ダメージ。
 僕の小切手を切るが、それぞれ五千万ずつ。どれくらいあたったかだよね。

 傭兵の大軍が去っていく。
 会場から人ごみが消えると……ウソだよね? ワレスさん、立ってるんだけど。けっこう効いてるみたいだなぁ。けど、どんだけ回避力高いんだ?

「わかった。かーくん。アイツ、クリティカルしか効かないんだ」
「えっ?」
「ミラーアイズって生来特技のランク5。戦闘中、敵の行動を予知することによって、クリティカルをのぞく通常攻撃を完全に回避するって書いてある」
「あっ、ほんとだ」

 つまり、たまりんと同じ状態だ。魔法かブレスかクリティカル攻撃しか通用しない!

 ついでに言えば、さっきの超絶美形のランク5。戦闘中、すべての数値が十倍になるって。だからか。だから、あのとんでもないステータスなんだ!

「兄ちゃーん。化け物だよぉー」
「化け物だな……」

 もうダメ。勝てない……。
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