第112話 白虎の竹林、三日め
文字数 1,379文字
いよいよ、明日は武闘大会当日。特訓できるのは今日までだ。
僕らは朝早くに起きて、竹林に行った。
僕は予告どおり、海賊。猛とたまりんはツボを使って商人。ぽよちゃんは武闘家、猫たちにも武闘家をおぼえさせたいものだけど、ツボの数が少ないからなぁ。やめておいた。そのかわり、モンスターって職につかせる。モンスター職を三種類以上マスターするとなれる職業だ。ネコりん、オーク市民、オーク貴族で三種類。
午前中に海賊をおぼえ、午後から山賊になって戻ってきた。猛は踊り子。たまりんは学者だ。ほんと、いろんな職業があるな。ぽよちゃんは戦士と武闘家をマスターしたので、その上の職業、武人になることができた。
「先制をとられると子白虎になっちゃうから、さっさと倒そうね」
「いいんだけどさ。かーくん。白虎の竹林なのに、ぜんぜん白虎に会わないよな?」
「う、うん?」
「変じゃないか? おれたちのやりかただと、なんか間違ってるのかも」
「えっ?」
そう言われると、そうかな。
「何が間違ってるんだろ?」
「たぶんだけど、すぐにネコりんを倒してしまうからじゃないか?」
「そうかな」
「ほっとくと子白虎になるだろ? なんか、それが関係してる気がするんだよな」
「そうか」
でも、子白虎にはもう化けるって特技はなかったから、子白虎が白虎になるわけじゃない。
そんなことを話しながら、僕らは竹林のなかを歩いていた。竹林は単純な作りだ。両側を竹にかこまれた道が、ぐるっと一周して出入口に戻ってくるだけ。
だけど、ゲートから一番遠い場所にあたる最奥には、小さな祠が一つある。
「かーくん。これ、怪しくないか?」
「ん?」
猛が指さすのは、祠の前にある板だ。お札所と書いてある。でも、札は一枚も貼ってない。
「あれ? 札って言えば、昨日、子白虎がなんか落としたよね?」
「それだな。貼ってみよう」
「うん」
子白虎が六枚落としたから、板を埋めるとしたら、二段にわけて上下に五枚ずつ貼ってくと、バランスかいいかな。
「あと四枚でいっぱいだね」
「子白虎から札、奪って、ここに貼ればいいんじゃないか?」
「ということは、あと四回」
「子白虎と戦おうぜ」
うん、まあ。今日はもう戦いかたもわかってる。つまみ食いしなけりゃいいんでしょ。
「白虎だから、白ネコりんしか子白虎にならないのかな?」
「どうだろう。次から倒さずに身を守って、子白虎になるのを待とう」
てなわけで、その場でグルグル歩きながら、エンカウントを待つ。ポチ袋、やっぱり効果あったんだな。昨日、封切っちゃったから、今日はエンカウント率が低い。
ようやく、出てきた。
ネコりんたち〜
けど、白ネコりん以外は子白虎にならなかった。ほかの子はサイズだけ大きくなって、化け猫になってしまった。見ためは可愛いままなんだけど。
「白ネコりん。白ネコりん。白ネコりん。出てこい。出てこい。白ネコりん」
午後もだいぶ遅くなって、やっとお札が四枚集まった。日暮れ前だ。
「どうする? やるか?」
「やるよ。明日はもう大会なんだから」
「よし。じゃあ、やろう。札、貼ってくれ」
「うん」
一枚、二枚、三枚、四枚……。
お札所が全部、埋まった。
ドキドキ。何が起こるかな?
待ちかまえる僕らの前で、ぽわん、ぽわん、ぽわんと祠から白いケムリがわきあがった。
ああー! 出た! 白虎だ。
巨大な白い虎が目の前に。
僕らは朝早くに起きて、竹林に行った。
僕は予告どおり、海賊。猛とたまりんはツボを使って商人。ぽよちゃんは武闘家、猫たちにも武闘家をおぼえさせたいものだけど、ツボの数が少ないからなぁ。やめておいた。そのかわり、モンスターって職につかせる。モンスター職を三種類以上マスターするとなれる職業だ。ネコりん、オーク市民、オーク貴族で三種類。
午前中に海賊をおぼえ、午後から山賊になって戻ってきた。猛は踊り子。たまりんは学者だ。ほんと、いろんな職業があるな。ぽよちゃんは戦士と武闘家をマスターしたので、その上の職業、武人になることができた。
「先制をとられると子白虎になっちゃうから、さっさと倒そうね」
「いいんだけどさ。かーくん。白虎の竹林なのに、ぜんぜん白虎に会わないよな?」
「う、うん?」
「変じゃないか? おれたちのやりかただと、なんか間違ってるのかも」
「えっ?」
そう言われると、そうかな。
「何が間違ってるんだろ?」
「たぶんだけど、すぐにネコりんを倒してしまうからじゃないか?」
「そうかな」
「ほっとくと子白虎になるだろ? なんか、それが関係してる気がするんだよな」
「そうか」
でも、子白虎にはもう化けるって特技はなかったから、子白虎が白虎になるわけじゃない。
そんなことを話しながら、僕らは竹林のなかを歩いていた。竹林は単純な作りだ。両側を竹にかこまれた道が、ぐるっと一周して出入口に戻ってくるだけ。
だけど、ゲートから一番遠い場所にあたる最奥には、小さな祠が一つある。
「かーくん。これ、怪しくないか?」
「ん?」
猛が指さすのは、祠の前にある板だ。お札所と書いてある。でも、札は一枚も貼ってない。
「あれ? 札って言えば、昨日、子白虎がなんか落としたよね?」
「それだな。貼ってみよう」
「うん」
子白虎が六枚落としたから、板を埋めるとしたら、二段にわけて上下に五枚ずつ貼ってくと、バランスかいいかな。
「あと四枚でいっぱいだね」
「子白虎から札、奪って、ここに貼ればいいんじゃないか?」
「ということは、あと四回」
「子白虎と戦おうぜ」
うん、まあ。今日はもう戦いかたもわかってる。つまみ食いしなけりゃいいんでしょ。
「白虎だから、白ネコりんしか子白虎にならないのかな?」
「どうだろう。次から倒さずに身を守って、子白虎になるのを待とう」
てなわけで、その場でグルグル歩きながら、エンカウントを待つ。ポチ袋、やっぱり効果あったんだな。昨日、封切っちゃったから、今日はエンカウント率が低い。
ようやく、出てきた。
ネコりんたち〜
けど、白ネコりん以外は子白虎にならなかった。ほかの子はサイズだけ大きくなって、化け猫になってしまった。見ためは可愛いままなんだけど。
「白ネコりん。白ネコりん。白ネコりん。出てこい。出てこい。白ネコりん」
午後もだいぶ遅くなって、やっとお札が四枚集まった。日暮れ前だ。
「どうする? やるか?」
「やるよ。明日はもう大会なんだから」
「よし。じゃあ、やろう。札、貼ってくれ」
「うん」
一枚、二枚、三枚、四枚……。
お札所が全部、埋まった。
ドキドキ。何が起こるかな?
待ちかまえる僕らの前で、ぽわん、ぽわん、ぽわんと祠から白いケムリがわきあがった。
ああー! 出た! 白虎だ。
巨大な白い虎が目の前に。