第141話 隠れてトドメ戦法

文字数 1,425文字


 見えないからわからないんだけど、どうもアンドーくんが攻撃しているらしい。たまに土ぼこりがたって、巨人の女の子がよろめく。

 女の子って言っても二メートル五十センチはあるけどね。巨人族のなかでは小柄なので、たぶんティーンエイジャーなんじゃないかと思う。あっ、全員三メートルじゃなかった。ウソついた。

 女の子の最大HPが1210。スゴイね。アンドーくんの倍以上だ。一撃で五十ずつけずれていく。

「アンドーくんは流星の腕輪で素早さ数値が倍になってるから、えーと……姿は見えないのに数値は見れる」

 レベル50(武人)
 HP508『50』(548)、MP210『47』、力348『58』(375)、体力303『48』、知力169『15』、素早さ232『24』[243](262)、器用さ192『12』(207)、幸運132『16』。

 レベル50になったんだ。
 たしか研究所のあたりでレベル45くらいだったはずだから、あのあとのスラム街やエレキテル港の攻防であがったんだね。

 それにしても、アンドーくんにも変な数値がある。僕や猛がつまみ食いで増やした数値につく二重カギカッコ。
 力も五百超えてるし、人間相手ならふつうに強いんだけど。

「素早さは腕輪効果で524ってことか」

 巨人少女の素早さはどれくらいかな? あんまり早くないらしいから、アンドーくんがたくさん動ければ一撃五十でも、けっこう行ける。

 アンドーくんは七回攻撃した。隠れ身を使うのに一回行動数使ってるから、全部で八回行動だ。

 巨人少女の素早さは65前後ってことだね。たまりんと同じくらいか。特殊な職業や装備品で行動回数を増やしてないかぎり、一回しか行動できない。

 これなら楽勝でしょ。

 巨人少女の番。
 少女はいきなり雄叫びをあげて、両手で大地をたたいた。何が起こったのかわからないけど、ドドンと会場がゆれた。すると、アンドーくんの隠れ身がとけた。

「あれ? 隠れ身、3ターン続くんじゃなかったですか?」

 デギルさんは「おおッ」と歓声をあげている。

「あの子、玄武の守護者だ。今の『玄武の叫び』だろ? 初めて見たぜ」
「玄武の叫び、ですか?」
「玄武の守護を得た戦士だけが使える、装備品魔法だ。相手のバリアなどのグッドステータスを解いた上で、敵全体を攻撃する。さらにはスタン効果を発揮する」

 ああ、マズイ。
 アンドーくん、スタンがかかってる。動けないみたいだ。動けても、2ターンのあいだは隠れ身も使えないけど。たぶんHPもギリギリ瀕死のはずなのに、回復すらできない。

 巨人少女は続けて攻撃に出た。アンドーくんをこぶしでなぐってる。一回、二回、三回、四回——あばれるだ。巨大なモンスターがたまに使う。一度の行動で四連打攻撃する技。

「トーマスパーティー先鋒、戦闘不能! よってヴィクトリアパーティーの勝利!」

 ああ、アンドーくん、負けちゃった。強いなぁ。巨人族。

 それにしても、玄武の守護か。
 そう言えば、僕も白虎の守護を受けたんだったよな。
 えーと、神獣の気が使える装備品。キレイな青いキャッツアイの首飾りだ。防御力も体力の10%あがるし、カッコイイから、ちょっとつけてみようかな? へへへ。

 けど、そうか。装飾品って二つまでしかつけられないから、精霊のアミュレットと流星の腕輪、どっちか外さないと。アミュレットはすべての状態異常をふせいでくれる。流星の腕輪を外すしかないのか。まあ、いいや。次の試合のときだけ……。
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