第108話 白虎の竹林、二日め

文字数 1,749文字


 二日めも絶好調だ。

 あっというまに職業をマスターしていく。午前中だけで、僕は猟師と漁師を、猛とは大ニートと遊び人を、たまりんは大ニートと職業のツボを使って戦士を、ぽよちゃんと猫たちはニートと大ニートをマスターした。

 これにてニート祭り終了。
 てかさ。モンスターって基本的にツボがないと人間職につけないんだけど、ニートはなれるんだ。

 午後からは、僕が大盗賊と詩人を、猛が念願の僧侶と大僧侶を、たまりんはよくわからないけど、パリピってやつをおぼえた。ニートと遊び人と踊り子をマスターしたらつける職業のようだ。意外とマスターするのに時間かかったけど、なんでだろう?

 ぽよちゃんと猫たちは、オークの紋章を使って、順番にオークをマスターした。やっぱり就労中、ブタさんになった……ブタ耳と、ブタの鼻とブタの尻尾に見ためが変化した。

 紋章2と紋章3のどちらか一つを装備してると、平のオーク市民、二つ同時に装備すると、オーク貴族の職につけた。

 残念ながら、死毒の霧はどちらも会得しなかった。
 オーク市民でマジックの『燃えろ〜』と特技の丸焼き(通常攻撃が炎属性になる)を、オーク貴族でマジックの『燃えつきろ〜』と特技の『みんな、やるぜ〜』、『毒の霧』、『オーク呼び』を覚えた。

 みんな、やるぜはグレート三兄弟がよく使ってた『(げき)をとばす』ってやつのようだ。仲間の攻撃力とテンションを同時に一段階あげる。
 猫たちにはあまった職業のツボを使って戦士や僧侶になってもらう。盗賊のツボは今ないから、また抽選に行って景品もらわないと。

 さて、特訓はもう一日だ。あさってには武闘大会当日だもんね。まだ予選だけど、勝ちぬかないと本戦に出場できないしな。

「よし、じゃあ、僕は明日、海賊と山賊をマスターする。そしたら、大会当日には大富豪で参加できるもんね。前に特訓したとき、ついでに武人もマスターしといてよかった。海賊と山賊は武人マスターしてないとなれないし」

「おれはこのさい、基本職全部おぼえとこうかな。大会の日はまた竜王に戻っとくよ。就労中のボーナス補正が高いから」

「ゆらり〜ゆらゆら」

 たまりんも何かをマスターするつもりのようだ。でも、たまりんって商人や武闘家になれないから、上位職も制限されてくるんだよなぁ。前に戦士はツボでなったから、戦士と詩人で騎士にはなれるのか。騎士になる条件が戦士はともかく、詩人っていうのがなんていうか詩心があるよね。

「あっ、そういえば、ぜんぜん、ポチ袋あけてなかったけど、あけてみる?」
「そうだな。いくら、たまったかな?」
「一日半で万歩は確実に歩いたから、最低でも一万円だね」
「百円で一万円かぁ。いいアイテムだなぁ」

 あけると、猛は五万円ていどだったのに、僕だけ百万円だった。やっぱり、幸運度のせいか。

「ああ、ズルイぞ。かーくん。行軍中にも大金ひろうくせに、その上に百万かぁ」
「百万くらい、猛にあげるよ」
「サンキュー」

 でも、そのよこで、ポチ袋をあけたアジが「ああーっ! 十万も入ってる! これ、いいの? ほんとにおれが貰っていいの?」
 って、そりゃもう感動してるので、僕は反省した。こっちの世界にいると、大金ひろいすぎてお金の感覚がおかしくなるよね。

「やっぱ、やめた。百万円はアジにあげるよ」
「いいの?」
「いいよ」
「さ、戻って、夕ご飯食べよう。今日は焼肉がいいなぁ」

 完全に油断しきってた。
 帰ろうと一歩動いた瞬間に、またエンカウント。変だな。ポチ袋の効果は切れたはずなんだけど。

 ゆらり……。

 あっ、まだ、たまりんのポチ袋が残ってたか。
 まあ、いいよ。どうせ、ネコりんでしょ? ちょちょいと倒して、ご飯にしよう。


 チャララララ。
 ネコりん(白)A〜Fが現れた!


 あっ、めずらしい。白い色のネコりんオンリーだ。色がそろうの初めてかも。

 さてと、ツンツンして、そろっと倒そうかなぁと、僕が考えたときだ。


 ネコりんの先制攻撃!
 ネコりん(白)Aは子白虎に化けた。
 ネコりん(白)Bは子白虎に化けた。
 ネコりん(白)Cは子白虎に化けた。
 ネコりん(白)Dは子白虎に化けた。
 ネコりん(白)Eは子白虎に化けた。
 ネコりん(白)Fは子白虎に化けた。


 ええーッ! 子白虎って何?
 ネコりんたちが虎になったー!
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