第196話 スーパーデラックスな景品

文字数 1,738文字



 食後、久々にギルドに行くことにした。盗賊のツボがなくなったから、もっと欲しいんだよね。

 抽選場に行くと、合成屋のおばあさん、ゴンドリヤさんがすわってる。やっぱり、ヒノクニにいた大魔女魔女さんとそっくりだ。

「抽選させてください!」
「抽選券を出しなされ」

 ふたたび、紙吹雪の嵐〜
 ミャーコも楽しそう。

 ……あれ? ゴンドリヤさん、抽選券をかき集めると、半分以上返してきたぞ。そして、ドン! と宝の山々をカウンターに載せる。

「これを持って帰りなされ」
「ええっ? ガラガラは? わーい、当たったとか、あははウフフは?」
「カーッ! 帰りなされ!」

 ここでもヒノクニ同様、しめだされてしまった。もうガラガラはさせてもらえないのか……。

「くすん……ガラガラしたかったよ……」


 かーくんの泣きマネが発動した!
 ゴンドリヤはダメージを受けた!


「……しょうがないですのぉ。一回だけですぞ?」
「えっ? ほんと?」

 ラッキー。
 泣きマネって、こんなときに使うものなのか?

「じゃあ、一回するね? ガラガラポンポン、ガラポンポン」

 ガラガラガラガラ——

「ああ……あっ? あっ? 黒? 黒い玉なんかあったっけ?」
「おおっ! それは特等の上のスーパーデラックス特等ですじゃ! カードもブラックのほうがゴールドより上ですじゃろ?」

 ゴンドリヤさん、なんでブラックカードなんて知ってるんだ? まさか、この人もほんとは現実から召喚されたのか? この強烈なおばあさんが? こんな人、リアルにいるの? いていいの?

「じゃあ、スーパーデラックス特等は何をもらえるんですか?」
「三択ですじゃ」
「三択?」
「船! 馬車! 飛行船! どれがよいですじゃ?」
「えっ? ええーッ! そんないいもの、もらえるの?」
「もらえますですじゃ。ただし、スーパーデラックス特等の景品は二回め以降、レアな職業のツボに変わりますですじゃ」
「そっか。じゃあ、スーパーデラックスな景品は今回かぎりなんですね?」
「さよう」

 これは、悩むな。
 馬車は持ってるから論外。
 もらうとしたら、船か飛行船なんだけど。

「猛! 船と飛行船、どっち?」
「たぶん、この世界じゃ、技術的に飛行船のほうが造るの難しい。つまり、それだけ高価」
「ロラン! 飛行船でいい?」
「世界中どこでも飛んで行けたら、船は必要ないですからね」

「決まり! 飛行船ください!」
「ではな。二ヶ月後にとりにきなされ」
「えっ? 二ヶ月後?」
「場合によってはそれ以上かかるやもしれん。今、ダディロンが制作中じゃ」

 そっか。僕らがヤドリギの魔の手から救いだしてあげた、伝説の鍛冶屋、ダディロンさん。

 ヤドリギに空飛ぶ乗り物を作れって脅迫されて、断ったせいで牢屋に入れられてたんだけどさ。

 けっきょく、作ってるんだ。好奇心に勝てなかったのかな?
 ダディロンさんの造るものなら、品質には間違いないね。

「じゃあ、できあがったころにとりにきます」
「うむ。これが引換券ですじゃ。カーッ」

 なんか、しょぼい引換券を渡された。チラシの裏に手書きで『飛行船』って汚い文字が書いてある。

 ま、いいや。スーパーデラックス特等ももらったし、盗賊のツボを十個手に入れた。戦士のツボ、僧侶のツボも十個ずつ。

「おっ。アクセサリーに天使の羽がある。あとで合成して、ぽよちゃんに状態異常かからないようにしてあげよう」

 天使の羽はほかにもいくつか、たまってたから、アンドーくんたちのも作りなおそう。

「あっ、かーくん。魔法書にプチサンダーありますよ」
「これを知力低くてMPはそれなりにある人がおぼえてくれれば、僕はあんまり痛い思いせずに、スマホ、充電できるんだけどな」
「モリーなら、MPは三百以上あるし、知力は二桁ですよ?」
「よし! モリーにおぼえてもらおう! 行くよ!」
「プルプル」

 あっ、モリーってプルプル語なんだ。スライムだもんね。

「よし。パコン!」
「プルル」
「おぼえた?」
「プルル」
「じゃ、やってみて」
「プルプルルー!」

 あっ、ピリっと来た。
 でも、このくらいなら冬場の静電気ていどだ。

「モリーのプチサンダーだと、電力は8しか充電されない。やっぱり痛いほど、たまるんだ」

 でも、これで猛のカミナリ受けなくてすむ! ほんと、死ぬからね?
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