第185話 特別試合2
文字数 1,530文字
「石化だ」と、猛がつぶやく。
どうでもいいけど、たけるって打ってるのに、竹内涼真が第一候補に来るのやめてくれないかな? 僕のスマちゃん。
「でも、ワレスさん、なんにもしてないよね?」
「ケロちゃんのターン初めに出る石化舌。あれって自動発動だろ? アイツも自動で発動する石化の特技を持ってるってことだ」
「自動石化……」
こ、怖いよ?
もうね。憧れ通りこして恐怖だよ?
数値だけでも神レベルなのに、自動石化まで発動しちゃうの?
とにかく、ゴライパーティーは残り大僧侶だけだ。回復役、残っててよかったね。
「みんな、元どおり〜!」
三人の石化が解けた。
「みんな、元どおりって言ったね」
「大僧侶がおぼえる最後のマジックだ。パーティー全員のすべての状態異常をなおす。ただし、MPが一回につき30もかかるんだよな」
「わっ。最高攻撃魔法なみだ」
大僧侶のMPがどのくらいもつかだなぁ。毎回、羊飼いの石化を解きながら、毛刈りを連発してもらえば、ワレスさんの防御力が減っていく。
たぶん、蘭さんの十万攻撃力があれば、防御力一万を切ったあたりでワンパンだ。
通常攻撃は攻撃力、相手の防御力の相互作用。そこにレベルの差異も関係してる。レベル高い相手に対しては、どんなに攻撃力強くても、ダメージが低くなる。たぶんだけど、レベル差10に対して、マイナス10%くらい。
蘭さんのレベルは28のままだから、ワレスさんのレベル62に対して、通常攻撃の効果は35%減になってしまう。
つまり、羊飼いにがんばって、四回は毛刈りしてもらわないと。最低でも三回。
「じゃ、次は僕らだね」
「防御力無視で攻撃できるのは、ブレスだ。兄ちゃんはひたすら、ギガブレスファイアーを吹き続ける」
「そうだね。あっ、でも、一回しか行動できないよね?」
「ああ。今はな」
「今はって、ずっとじゃん」
「たまりんのハープの効果に、詩人職についたことのあるメンバーが行動回数消費せず行動できるってのがあったよな?」
「あった! 竹林のエチュードだ」
「おれたち、詩人をマスターしてる」
「そうだった! ぽよちゃんとアジ以外はしてる」
「竹林のエチュードは五回ハープを弾くと出るんだよな?」
「そうだ! 1ターンで、たまりんは三回ひけるよ」
「ということは、次のターンには竹林のエチュードと詩神のバラードの効果で、おれとかーくんも三回行動できる」
「そっか! そのとき、雄叫びすればいいのか」
「いや、火の結界を使う。そうすれば、おれだけじゃなく、ぽよちゃんのファイアーブレスの効果もあがる」
次のターンまで持ちこたえれば、大ダメージをあたえられるんだ。
「よし。じゃあ、僕は今の回、傭兵呼びをやってみる。ワレスさん回避率高いたから、三百万くらい使ってみようかな」
「ゆとり持って一千万でもよくないか?」
「わかった。一千万」
前の手あわせのとき、傭兵呼びの半分くらいをかわされてるからなぁ。あのときより、さらに回避率あがったワレスさんに、どのくらい僕の技が効くのか?
「アジの算術って、僕にかけたら、僕が使う技にまで効果ある?」
アジは首をふった。
「算術は通常攻撃にしか効果ないよ。通常攻撃と魔法攻撃」
「そうか」
しょうがない。素早さはあげても意味がないので、パタパタはしない。
僕は叫んだ。
「小切手を切る〜! 一千万!」
進軍ラッパが会場に鳴り響く。
そして、虚空から大勢の兵士がかけつけてきた。
観客の熱気はいっきに高まり、ワアワアとさわぐ声にまじって、先頭に立つユージイが号令をかけた。
「すいません。ワレス隊長。決まりなので、やらせてもらいます。突撃ー!」
あはは。義理堅い。
僕の傭兵たちは三千人はいたかな? それらがいっせいにワレスさんに打ってかかる。