第275話 グレート研究所長戦5
文字数 1,379文字
「あ、危ない! シャケ! アユちゃん!」
グレート研究所長の巨大な腕が、三村くんを直撃した。三村くんがバンシーをかかえたまま、ふっとばされる。三村くんたちは失神したようだ。体力五千じゃたりなかったか。もっと書きたしとけばよかった。
「猛、ヤバイよ。こっちのターンにならない」
「アイツ、素早さが無限大になってる」
「魔改造のせいかな?」
「だろうな。かーくん。とにかくパタパタして、素早さをあげるんだ」
「うん」
「あと、できるようなら、小説を書くで、アイツの素早さを落とせ」
「わかった」
こっちの数値だって、とっくに素早さふりきってるはずなのに、グレート研究所長、それ以上の素早さなのか。
僕の限界百倍まで素早さをあげれば、三百万以上までステがあがる。いくらグレート研究所長が素早くなってても、それならこっちのほうが速いはず。
グレート研究所長の攻撃をかわしながら走りまわる。
猛の反射カウンターがちょっとずつ効果を出してるみたいだ。これでヤツの動きさえ止められれば。
よし。行けそうだぞ。
僕はグレート研究所長のステータスを見なおした。素早さ——たしかに猛の言うとおり、無限大になってる。
僕はスマホでその部分を書きあらためる。グレート研究所長、素早さ99999。
「猛! マックス数値までは落とした」
「もっとさげられないか?」
「やってみる!」
グレート研究所長、素早さ50000。書けた! でも、それ以上に低くしようとするとエラーですって出る。下方修正でも限界があるのか。
「五万以下にはできないよ!」
「オッケー。なんとか、このまま、ヤツの攻撃ターンが終わるまで耐えしのぐぞ」
「了解!」
「ブヒーッ! ブヒヒ、ブヒーッ!」
ブタさん、興奮してるなぁ。
V字アタック連打が止まらない。僕らがチョコマカかわすんで、よけいイライラしてるみたいだ。
「やったぞ、かーくん。動きが止まった!」
「僕の素早さのほうが、だいぶ上だからね。小説を書くの効果が出たんだよ」
さあ、こっちの番だ。
どうやって倒そうか?
「猛。どうする?」
「まず、かーくんが山びこ特性で攻撃してくれ。もしも、それでも倒しきれなかったら、兄ちゃんがつまみ食いで倒す」
「ブタ肉……」
「かーくん。それは言っちゃダメだ」
「あっ、うん。ヨダレ出そうになった。ガマン。ガマン」
しょうがないなぁ。
「じゃあ、ミニコ。行くよ?」
「ミ〜」
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
山びこになってるから、そのあと、僕とミニコはえんえんと呪文をくりかえした。
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
「燃えつきろー!」
「ミミミミミー!」
やがて、大きな大きなブタの丸焼きができた。
ごめんね。グレート研究所長。これからはブタ肉を食べるたびに、養豚場のブタさんに感謝するよ。
「ブ……ブヒ……オーク族にさ、栄えあれ……」
チャラララッチャッチャ〜!
グレート研究所長を倒した。経験値三万、五千円を手に入れた。グレート研究所長はオークの紋章1を落とした。
はぁ。なんとか勝てた。しんどい戦いだったなぁ。僕らが万ステータスになってなかったら、絶対、勝てなかったからね、これ。