第233話 職神戦3
文字数 1,491文字
「剣聖のわしでさえ一撃で……あなどれんわ」
「いや、一撃じゃなかったです」
「装備品効果はそなたの攻撃の一部だ。一回の行動で倒したのだから、一撃と言えよう。見事!」
まあ、それでいいなら、そういうことにしといてもらうけど。
「賢神!」
「断捨離、三百万!」
さらにパンチ力をあげる。
百万攻撃を受けて倒れなかったってことは、HPがそうとう高い。それに防御も格段に固くなったよね。
「えい!」
「鉄壁カウンター!」
「イテッ!」
ハッ! 今のなんだ?
攻撃がはねかえされた?
「カウンター?」
いや、でも、鉄壁カウンターとか言ってなかったか?
「かーくん。鉄壁カウンターは剣聖がおぼえる特技だ。重騎士が使う鉄壁をしつつ、70%の確率でカウンターだってよ」と、猛。
70%か。かなりの高さ。
しかも、カウンターって、神獣の気をすりぬけちゃうんだ。ん? ゴライの反射カウンターはすりぬけなかった……。
「兄ちゃん! 神獣の気がきいてない!」
「相手も神獣みたいなもんだから、相殺されてるのかも」
「ああ……」
神獣対神獣ってわけか。
そうか。効果がかきけされちゃうのか。
「はっはっはっはっはっ。白虎のオーラなどきかんぞ」
うーん。強いな。
剣聖の特技が出るってことは、一回、変化した職業の特技をすべて使ってくるってことだ。今後、七割の確率でカウンターされるって思ったほうがいい。
通常攻撃はここまで。持たざる者の断捨離、もっと使ってみたかったんだけどなぁ。まあ、カウンターしない敵なら充分使える技だっていうのはわかった。
ちなみに、さっきのカウンターで受けた、僕のダメージは六百。防御力一万超えてるのに六百というのは、けっこう強い。
反射カウンターと違って、カウンターは相手の攻撃を返されてるから、職神の攻撃力は僕の防御力より少し高いってこと。攻撃力は一万三千くらいだね。
そりゃ、一般人なら、この段階でみんな死んでるよね。ふつう、ステータスって万は行かない。
「よし。じゃあ、燃えろ〜」
「ミミミ〜」
僕の知力も今や二万だ。ミニコなんか五万。当然、職神は倒れる。
「あぶっ! うわっち。賢神のわしを魔法でノックアウトするとは、やるな。ここまで戦える相手は、じつに久しいぞ」
「えーと、ワレスさんが来たことは?」
「誰だ? それは」
「金髪碧眼のものすごい超絶美形」
「うーん? 知らんな」
「ですね。来てたら絶対、忘れないはずなんで」
「なんでだ?」
「いや、僕らより遥かに強いんで、前に来た強者は、ワレスさんだったのかなぁって」
「違うな」
職神さまは少しのあいだ考えこんだ。何を思ってるんだろう?
「まあよいわ。次は商神だ!」
「おおっ! 僕と同じ商神!」
「来るがよい!」
「えい!」
あっ、しまった。つられてふつうに叩いた。
「あぎゃッ」
よかった。倒れた。
「あっけない! 商神、あっけないです!」
「わしは金持ちではないでのう。すべての職をきわめはしたが、商神の特技はなんの役にも立ったことがないのだ。黄金の嵐も黄金の壁も、金、金、金だ。金がなければ、まったく使えん」
「僕は大金持ちです!」
「むむ。羨ましいのう……」
職神にうらやましがられた!
僕の小銭ひろい、すごすぎる。
「ならば、勇神!」
「プチサンダー!」
「ミミミーミー!」
「ギャッ」
「魔神ならどうだ!」
「光れー!」
「ミミミー!」
「ウギャ!」
職神さまは黒こげから立ちあがり、不敵に笑いだす。
「ついに……ついにここまで来たか。わが人生に悔いなし。ついに職神じゃー!」
来るのか。いよいよ最終職。
職業のなかの職業。キングオブ職業。すべての職業をきわめし者だけがなれるという、職神!