第82話 グレートマッドドクター戦3

文字数 1,359文字



 うーん。仲間を守る特技、味方にいると、すごく頼もしいけど、敵だと、めっちゃイラッとくる。
 その上、ガーゴイルは攻撃対象にされるたびに器用さをあげてくるから、だんだん、こっちの攻撃あたる確率もさがる。ますます倒しにくくなるわけだ。

 もしかして、ガーゴイルの細かい数値も見れるかな?
 あっ、見れた。器用さは……なんと! もともと1000だ。すごい回避力。それが羽ばたきのせいでますます上昇して、今は、

 器用さ1000(1500)

 ってなってる。
 えーと、さっきから僕の攻撃二回とミニコの攻撃二回、それにグレートマッドドクターをかばって一回かわしてるから、攻撃を受けるたびに100ずつ数値があがってる。

 ええー?
 100ずつって、ヤバイよ。
 三十回攻撃して、全部外れたら、あっというまに万超えるからね?

 ダメだ。このまま、ちまちま攻撃してたんじゃ、こっちの攻撃がまったくあたらなくなる。
 しょうがない。ここはいっきに回避力無視でやっつけるしかない。

「傭兵呼び〜」

 まだまだ動けるからもったいなかったんだけど、僕は最後の切り札を出した。進軍ラッパの音が高らかに響きわたる。

 さ、これで安心だ。
 軍隊が去ったときには、戦闘は終わってるだろう。
 いつものように黒山の人だかり。
 ああっ、ほんとだ。目をこらしてよく見てたら、今、ユージイもいた。僕にむかってピースサインを送ってから突撃していった。

 ちょっとほっこりしたところで、傭兵たちは光のなかへ帰っていった。

 二千万ダメージ。
 さすがに終わったでしょ?
 一人につき何ダメかわからないけど、素手でなぐってるから70〜100ダメージずつくらいかな? 100だとしても、えーと、二十に万がついて、二十万人ぶんか! 同じ人が複数回攻撃してるんだろうな。二十万人も傭兵呼びに登録してると思えない。

 ところがだ。
 光が薄れたとき、そこには、なぐられてボロボロになったモンスターの姿が……。

 あっ! 残ってる。
 ガーゴイルBはいないけど、ガーゴイルAとブタさんが立ってるぞ。

 僕はあわてて彼らのHPを調べた。グレートマッドドクターは2000を切ってる。でも、まだHP半分だ。ガーゴイルは3。ひとけたでかわしてる。

 僕は以前、ワレスさんと手合わせしたときのことを思いだした。そういえば、あのとき、ワレスさん、傭兵の攻撃の半分くらい、よけてたよな。

 つまり、傭兵呼びって必中じゃないんだ。防御力無視の攻撃ではあるけど、回避力の高い相手にはよけることができる。

 しまった。ワレスさんにかわされたとき、もっと真剣に考えとかないといけなかったんだ。

 だからと言って、今この場でどうにかすることはできない。グレートマッドドクターの攻撃が大したことないことを祈るばかりだ。

「あれ? かーくん。倒しそこなっちゃったんですか?」
「かーくん。ダメだがねぇ」

 いやいや、二人、遊んでたくせにぃー!

 ゴチャゴチャ言いあう僕らの前で、グレートマッドドクターは高笑いした。

「ブッヒッヒィー! きさまたちもここまでのようだな。このときを待っておったぞ。覚悟するがいいわ。この偉大なる研究者、グレートマッドドクターさまが直々に成敗してくれる。ブヒーッ!」

 ああ、ブタさん、興奮してるなぁ。ブタブタ言って、イジメすぎたかな?
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