第144話 中堅、トーマス

文字数 1,601文字



 なんとか一勝一敗に持ちこんだぞ。
 最低でも大将の蘭さんまで、あと一勝してつながないと。
 自分のチームのことじゃないけど、なんか見てるのが苦しい。

「次は……トーマスか。どんな戦いするんだろう?」

 中堅同士がならぶ。
 トーマスはこれまで、僕もいっしょに戦ったことがない。以前、シルキー城の兵士訓練所で呪文の唱えかたを教えてもらっただけだ。

 じゃあ、さっそくステータスを見てみよう。
 レベルは……45か。だいたい僕らと同レベルだね。
 それにしても、なんで蘭さんたちのステータス詳細見れるのかな? 僕らが同じパーティーだからかな。

 レベル45(騎士)
 HP436(470)、MP88、力225(243)、体力450(540)、知力182、素早さ92、器用さ182、幸運93。

 騎士なんだ。
 今、騎士かぁって感じだけど、しょうがない。しかも職業ツリーをよく見ると、詩人をマスターしてない騎士だ。イベントキャラでたまにあるパターンだね。騎士さえマスターしてたら、重騎士、聖騎士などにはなれるから、まあいいのか。

 やけに体力だけ高いけど、それもステータス1000超えの巨人相手には、ちょっと厳しい。

「うーん。防御力のみ高い典型的な騎士タイプ。ふつうの敵なら大丈夫だったと思うけど」
「相手は巨人だからな。ああ……力が2000超えてる」
「強いね」
「強いなぁ」

 力2000とか、僕が相手でもヤバイ。僕の場合は先攻にさえなれれば、ミニコに守ってもらえるけど、もちろん、トーマスにはそういうガードはない。

「けどな」と、猛は続ける。「トーマス。特技はいいもの持ってるぞ。あいつ、個人戦向きじゃないなぁ。パーティー戦だと活躍する」
「えっ? ほんと?」

 猛が言うんで、個人特技の欄を見なおした。

 個人特技

 教える(使用型特技)
 ランク1 自分以外の任意のパーティーメンバーの呪文の効果1.5倍
 ランク2 自分以外の任意のパーティーメンバーの物理攻撃1.5倍
 ランク3 自分以外パーティーメンバー任意の呪文効果、物理攻撃三倍

 竜毒(使用型特技)
 ランク1 毒攻撃をくらうとカウンター。通常の1.5倍ダメージ
 ランク2 1の効果の上、相手を毒にする。毒無効化無効
 ランク3 1の上、味方パーティーが攻撃を受けると相手を毒状態にする

 兵法(自動発動)
 ランク1突撃 たまに仲間の通常攻撃時、追随して自動攻撃
 ランク2退却 たまに攻撃を受けそうになると自動で後衛移動。仲間を守っているときはその仲間とともに移動
 ランク3全隊突撃 50%の確率で仲間の攻撃時、その他のメンバー全員で追随攻撃

 むっ、仲間を支援する『教える』がスゴイ。自分が強くなるわけじゃないけど、これ、たとえば僕に使ってくれたら、傭兵呼びのダメージが三倍になるってことなんじゃ?
 ボス戦でめちゃくちゃ役に立つじゃないか。
 たまに仲間の攻撃に追随攻撃ってのもすごくいい。

「トーマスの特技は三種類しかないんだね」
「個人特技の数は人によって違うんだ。最高五つ。NPCとかは、だいたい三種類。まれに一つしかない人もいる。ランクアップも最高五段階。三段階、まったくランクアップしないってこともある」

 この感じだと、トーマスは三段階までしかあがらないっぽいな。

「中堅戦、始めッ!」

 始まったぞ。
 巨人族は僧侶のようだ。僧侶だけど、大きなハンマー持ってる。あれで頭なぐられたら、ふつうに死ぬ……。

 トーマスの特技は支援系が多いから、自力で戦うのは苦戦するだろうなぁ。

 先攻はトーマスだ。
 マジックは僧侶の基本的な回復系しか知らないみたいだから、直接攻撃するしかないよね。

 と思ったら、

「竜毒!」

 ん? ここで竜毒使う?
 竜毒って、自動でかかる技じゃないのか。あ、ほんとだ。使用型特技って書いてある。

 トーマスの行動はそこで終わりだ。
 相手のターン。
 巨人僧侶のハンマーがトーマスを襲う!
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