第280話 (ぽよちゃん対)豪のゴドバ戦2
文字数 1,363文字
キュイ。かーくん。ぼく、勝てるかな……早く帰ってきて。一人で戦ったことないから不安になるよ。
えっ? トーマスとアジは戦力に入ってない。ネコりんたちは気まぐれだし。
実質、ぼくとたまりんさんの二人だよね。
「ぽよちゃん。しっかり! 大丈夫よ。スピードファイターは百倍まで素早くなれる。マックスになるまで走りまわって」
「わかった! こうだね?」
ぼくはかーくんがやってたみたいに、とにかく走りまわる。かーくんがいつもバカみたいに走りまわってたけど、こういうことなんだね。どんどん体が軽くなって、素早くなっていくのがわかる。
「たまりんさん。これなら、まだ百回くらい動ける!」
「じゃあ、ぽよちゃん。連続ギガブレスよ。十回くらい試してみて」
「うん! ギガファイアーブレス!」
ぼくの炎が巨大な化け物を包んだ。一回99999の攻撃だ。それを十回。さすがに倒れるんじゃないの?
「キュ……キュウ……」
まだだ。まだ倒れないよ。
HPは8のまま。
「た、たまりんさん。まさか、アイツ、ずっと8なんじゃないの?」
「HPが無限に増殖しているってこと? 前に悪のヤドリギと戦ったとき、アイツは人間の体を改造して、そんなふうにしてたわね」
「う、うん」
「でも、あのときは、見てるうちに体がブクブク大きくなって、部屋じゅうにあふれてきた。今のアイツはとても大きいけど、ヤドリギのように増えてはいない。たぶんだけど、増殖はしてない。もともとの数値がものすごく多いだけなんだと思う」
「そうなの?」
「ぽよちゃん。アルテマハイテンションになってみて」
「わかったよ」
ぼくは力をためた。キュイ!
三回ためて、四回め。運がよければ、これですぐにアルテマハイテンションになれるんだけど……うーん、四回も失敗しちゃった。でも、なんとかアルテマハイテンションになれた。
「なれたよ!」
「攻撃よ。ぽよちゃん!」
「オッケー!」
えーい! ドーンと体当たりすると、ヤツはグラリとゆらいだ。アルテマハイテンションになると、力が二百倍だからね! どうだ? これなら……これなら……。
「キュウ……」
まだ立ってる。
HPも8……。
「ぽよちゃん! よく見て。無限大の文字がさっきまで真っ赤だった。なのに今は黒くなってる。HPが減少したからよ!」
たまりんさんに言われて、ぼくはヤツのHPを見なおした。たしかにさっきまでは赤い8だったのに、今は黒い8に変わってる。
「五万の二百倍だもの。一回の攻撃で一千万ダメージよ。きかないわけない。ただ、アイツのHPがそれ以上に多いだけ」
「じゃあ、このまま行けば、倒せる?」
「ええ。がんばりましょう!」
「うん。わかったよ」
かーくん。ぼく、がんばる。
もう一回、アルテマハイテンションアタックだ!
あせったせいでアルテマハイテンションになるのに五回も失敗しちゃったけど、体当たりすると、ヤツのHPの8がさっきより薄い色になった。雨が降りそうなときの雲の色だ。
「ぽよちゃん。やっぱり、効果が出てる! あと何回か攻撃したら、きっと無限大じゃなくなるはずよ」
「うん!」
ぼくがまた力をためてたときだ。急にゴドバが大声を出した。
「キュ、キュイ!」
大きな手がふりおろされ、ぼくはなげとばされた。
痛い……な、何が起こったんだ? まだこっちの攻撃ターンのはずなのに。