第245話 アナザー 二人の高森 その53
文字数 781文字
水田の言う「きらきら」が何なのかよくわからないまま、角田先輩と二人でカウンセリング室に向かった。
途中すれ違う生徒は皆、自分のやっている事を中断してローカの端により、道を開けて通りすぎるオレ達をガン見している。
こういう場合、俺ならうつむき加減で通りすぎる所だが、オレはまったく臆することなく顏をあげ角田先輩と肩を並べて歩いている。つくづく彼と俺の違いを認識してしまう場面だった。
カウンセリングルームの引き戸に手をかけ、ガラッと扉を開けると、銀縁眼鏡にスーツ姿の菊留先生が、いつもどおりそこに立っていた。先ほど別れたばかりの佐藤先輩も一緒にいた。
笑顔だった先生は一目オレを見るなり、顏から笑みを消した。
そして扉の外に生徒がいないのを確認してからすぐ施錠した。
「高森君。君はまだ、あちらの世界の高森君なんですよね」
「そうです。菊留先生」
先生は彼がオレである事を確認した。
「……そうですか」
「角田君。彼と歩いていて何か感じませんでしたか?」
「はぁ、特には……今日はやたら、皆の注目はあびましたけど」
「そうですか。やっぱり、そうなりましたか」
「やっぱりって先生、何か理由があるんですか?」
「ええ。大ありなんです」
一呼吸おいてから先生は口元に二本指をたて呪を唱えた。
「天地開闢 の理によりて見えざるモノを現にしめせ。顕現」
そのまま呪をオレに向かって投げた。
四散する波動。
オレの後ろに立っていた俺の姿が露になった。
鏡に映したようにそっくりな二人のおれ。
「げっ、ドッペルゲンガー?」
「たっ、高森が二人……?」
「高森君。魂だけの君がなぜここにいるんですか」
今までに見せた事のない厳しい顔つきで先生は言った。
それはオレを通り越して、明らかに俺に問われた言葉だった。
途中すれ違う生徒は皆、自分のやっている事を中断してローカの端により、道を開けて通りすぎるオレ達をガン見している。
こういう場合、俺ならうつむき加減で通りすぎる所だが、オレはまったく臆することなく顏をあげ角田先輩と肩を並べて歩いている。つくづく彼と俺の違いを認識してしまう場面だった。
カウンセリングルームの引き戸に手をかけ、ガラッと扉を開けると、銀縁眼鏡にスーツ姿の菊留先生が、いつもどおりそこに立っていた。先ほど別れたばかりの佐藤先輩も一緒にいた。
笑顔だった先生は一目オレを見るなり、顏から笑みを消した。
そして扉の外に生徒がいないのを確認してからすぐ施錠した。
「高森君。君はまだ、あちらの世界の高森君なんですよね」
「そうです。菊留先生」
先生は彼がオレである事を確認した。
「……そうですか」
「角田君。彼と歩いていて何か感じませんでしたか?」
「はぁ、特には……今日はやたら、皆の注目はあびましたけど」
「そうですか。やっぱり、そうなりましたか」
「やっぱりって先生、何か理由があるんですか?」
「ええ。大ありなんです」
一呼吸おいてから先生は口元に二本指をたて呪を唱えた。
「
そのまま呪をオレに向かって投げた。
四散する波動。
オレの後ろに立っていた俺の姿が露になった。
鏡に映したようにそっくりな二人のおれ。
「げっ、ドッペルゲンガー?」
「たっ、高森が二人……?」
「高森君。魂だけの君がなぜここにいるんですか」
今までに見せた事のない厳しい顔つきで先生は言った。
それはオレを通り越して、明らかに俺に問われた言葉だった。