第249話 アナザー 二人の高森 その57

文字数 505文字

……コイツは皆から愛されてる。

 コイツのねーちゃんは言った
「あんたはねぇ、空気みたいな、水みたいなもの」だと意味を尋ねると
「無いと生きていけないけど。存在自体意識してない」って言われた。

 コイツはねーちゃんからあんなに愛されて。オレ、あんな風に言われた事ない。
 可愛いって言われて頭をくしゃくしゃに撫でられたこともない。

「おはよう、高森君」
 学校に行くと幼馴染の水田から声をかけられた。
 水田のあんなに親し気な笑顔。オレは見たことない。

 それに何でコイツ。
 学年の違う角田護からあんなに心配されてるんだよ。
「ぼくは高森の琥珀色(アンバー)の瞳を気にいっている」
 この言葉を言った角田護は本当にコイツが好きなのだとわかった。

 なんで皆コイツの事、こんなに構うんだ。
 自己主張しないつまらない性格なのに。

 人の悪口なんか一言も書いてない日記(ブログ)
 コイツは愚痴も不満もないのか。

 コイツのツイッターときたら、何だ。
『よかった』って言う言葉だらけだった。


 ……面白くない……神経に障る……イライラする!

 ……こんな奴、嫌いだ。
 ……大っ嫌いだ。
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