第364話 アナザー  邂逅 その12

文字数 372文字

 響はあたりに妙な違和感を覚えた。
 一ノ宮の気を纏った者とそうでない者がいる。
 それも数人、裕也が術を発動すれば確実に巻き込む距離に。

「さすが響、気がついたんだ。高森要がすぐそばにいる。
 連れも一緒だよ。それとあと他に三人、どうやら友達みたいだね」

「裕也、一般人を巻き込まないんじゃなかったのか?」

「響、わからないの?彼は普通の人間じゃない」
 裕也の顔に確信に満ちた笑みが浮かんでいた。

「彼の実力見極めるのに恰好の舞台だと思わない?」
「恰好の舞台って……どうするつもりだ。その亜空間とやらに彼らもつれていくのか」

 響の焦りを帯びた声に裕也は答えなかった。
 否、答えられなかった。

 途中で口をつぐんだ彼は響から目線を外し正面を凝視していた。

 二人の目の前に五人の敵が現れた。
 中の一人を見て響は絶句した。
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