第265話 アナザー 二人の高森 その73

文字数 502文字

「そういえば、学校に来る道中、二人のそばに行くとやたら暑かったけど」
「二人いや、三人のオーラが駄々洩れ状態だったからですね」
「駄々洩れって先生」

「二人とも幽体の高森君に引きずられて、オーラが身の内に留まらず放出しっぱなしだったんですよ」
「じゃあ、注目をあびたのは?」
「角田君のオーラは紫です。高いセンスとカリスマ性を発揮するオーラですから」
「なーるほど。駄々洩れだったら、そりゃ注目するかぁ」

 ちょっと考えてから佐藤先輩が言った。
「でも、どうやって高森はアナザーワールドからこっちに帰ってくるんだ?」
「角田君の生命エネルギーを頼って」
「先生。他の分岐した世界にも角田はいるんだろ。無理じゃね」
「そうですね。でも、そこが面白い所で、高森君。アナザーの彼から離れて下さい」

「……はい」
 促されて俺はオレから離れた。
 先生は再び呪を唱えて握りこんだ手を解き放つように無造作に振った。

 部屋全体に拡散した波動。
 皆の体が光に(ふち)どられた。
 佐藤先輩は黄色。
 大山先輩は赤色。
 角田先輩はうす紫色。
 俺は青色
 アナザーな高森要は緑色。
 先生は白だった。
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