第200話 アナザー 二人の高森 その8

文字数 592文字

こえぇっ。
前の世界で角田先輩は俺に対して基本いつも笑顔だった。
『嫌いな人には氷のような眼差しで対処する』
以前、泉に言われた言葉を今更のように思い出す。先輩にとってこの世界の俺は嫌いな部類に入るらしい。

「あの、俺もついて行っていいですか?」
きわめて遠慮がちに尋ねる。
「勿論、先生に連れて来いって言われてるしね」

佐藤先輩は意味深に笑って言った。一体いつ連絡を取ったんだろう。
先生と佐藤先輩はテレパスだから、いつも勝手に二人で話をしてる状態なのかもしれないが、さっきの展開から考えると解せない。

「えっ、彼を連れて行くんですか」
「うん……なんだか不満そうだな。角田」
「いえ、そう言うわけでは」
「とにかく、詳しい話は後で聞こう。角田も」
「はい」
全員で足早に移動を開始する。

なんだか、いつもと印象が違う。
角田先輩と佐藤先輩は白のカッターシャツにネクタイ、チェックのスラックス。
泉と智花先輩は白いブラウスにチェックのリボン、同じくチェックのひだひだスカート。
全員、開成南の制服を着ていない。皆、凪高校とかいう所の生徒なんだろうか。

「ちがうよ。泉は開成東、残りは開成南の生徒さ。お前の知ってる学校の制服はリニューアル前の奴だな」

俺の思考を読んだらしく佐藤先輩は道々説明してくれた。。
やっぱり、佐藤先輩はテレパスだ。
能力までは違ってないらしい。
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