第21話

文字数 557文字

「まぁ、まぁ、そういわず。
 対処法はおいおい考えるとして、今日のところはそろそろ解散しましょう」

大山先輩に数珠の代金を清算した菊留先生が話に割って入った。
テーブルのかたずけを終えて店を出る。

「次回の集会はまた連絡しますね」

菊留先生の言葉に頷くと皆ちりじりの方向に散った。
「さよなら」
「またね」
「じゃ、また」
挨拶も短い。

他の先輩方と別れた後、俺は駅の方角に消えた泉を追った。
どうしても聞きたい事があった。

「泉、ちょっとまって」

改札を抜けようとする泉にかろうじて声をかける。おどろいて振り返る泉。
手にしていたのは定期だったのでそのままで出口方向の改札を抜けて帰ってきてくれた。

「どうしたの、高森君」
「ちょっといいかな、まだ、暇ある?」
「うん、いいけど」

泉の手を引いて、近所の公園に移動して質問した。

「あの、泉と角田先輩の関係が知りたいんだけど」
「えっ、ああっ、いいけどどの辺から?」
「どの辺って」
「言っとくけど一年、二年のつきあいじゃないから」

「そんなに?」
「うん結構長いよ」
「じゃあ、最初から」

「うん、わかった。ここは泉バージョンでひとつ昔話をしてあげます」

泉は偉そうにそういうとコホンと一つ咳払いした。
俺はなんとなく居住まいを正した。
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