第171話 桜花恋歌 その30
文字数 587文字
一時間後、俺は泉総合病院の集中治療室の部屋の前に置かれた長椅子に座っていた。
薄い無菌シートで覆われたベッドの上で角田先輩の治療が続いている。
ベッドサイドモニターが先輩の異常な数値の心音をとらえて画面に映し出していた。
一分間 120回 通常は45~85が正常な数値。
泉からその説明を聞いて俺はうなだれた。
膝の上に置いた両手の震えが止まらない。
「高森君」
「菊留先生……」
声をかけられて顏を上げるとそこには菊留先生と佐藤先輩。大山先輩の姿があった。
「先生、おれ、……助けられなかった。その場にいたのに」
「高森君」
「俺のせいで、もっと俺がしっかりしてれば」
「たかもりくん」
「うっ、俺が」
「しっかりしてください」
先生は立ち上がった俺の肩を掴んで揺さぶった。
「せんせい……」
「高森君、泣いていいんですよ。男の子だからって我慢する事はないんです。
泣きたいときには泣けばいい」
その言葉に涙腺が一気に緩み涙があふれてきた。
手の甲でぬぐってもぬぐっても涙があふれてくる。
先生はハンカチを差し出してきた。
受け取って涙をぬぐった。
「先生」
「辛かったですね。……落ち着いたら事の詳細話してもらえますか?」
「……はい……。先生」
全員で病室の前を離れて泉のはからいで病院の応接室に移動した。
俺が話を始めるのにもう少し時間が必要だった。
薄い無菌シートで覆われたベッドの上で角田先輩の治療が続いている。
ベッドサイドモニターが先輩の異常な数値の心音をとらえて画面に映し出していた。
一分間 120回 通常は45~85が正常な数値。
泉からその説明を聞いて俺はうなだれた。
膝の上に置いた両手の震えが止まらない。
「高森君」
「菊留先生……」
声をかけられて顏を上げるとそこには菊留先生と佐藤先輩。大山先輩の姿があった。
「先生、おれ、……助けられなかった。その場にいたのに」
「高森君」
「俺のせいで、もっと俺がしっかりしてれば」
「たかもりくん」
「うっ、俺が」
「しっかりしてください」
先生は立ち上がった俺の肩を掴んで揺さぶった。
「せんせい……」
「高森君、泣いていいんですよ。男の子だからって我慢する事はないんです。
泣きたいときには泣けばいい」
その言葉に涙腺が一気に緩み涙があふれてきた。
手の甲でぬぐってもぬぐっても涙があふれてくる。
先生はハンカチを差し出してきた。
受け取って涙をぬぐった。
「先生」
「辛かったですね。……落ち着いたら事の詳細話してもらえますか?」
「……はい……。先生」
全員で病室の前を離れて泉のはからいで病院の応接室に移動した。
俺が話を始めるのにもう少し時間が必要だった。