第125話 泉と先生との出会い その2

文字数 693文字

「泉さん、少し君と話がしたくて、放課後。ちょっと付き合ってくれないかな」
「いいですよ。今日は習い事もないですし」

泉は快く返事を返した。開成東に部活はあるが強制はない。
帰宅部が許される代わりに個人の習い事は奨励されていた。
ゆえに、日本舞踊を習ったり、ヒップポップをしたり、バンドを結成、将棋や囲碁等、学校にはないカルチャーを楽しむ生徒も数多く存在した。
泉はそのうちの一人だ。
この現状を踏まえて「角田先輩もこっちにくればよかったのに」と思っていた。

放課後待ち合わせ(アレン)と並んで校門を出る。
アレンは声をかけてくる生徒に一人ひとり挨拶を交わしながら自然な足取りで先にたって一軒のパーラーに入っていった。
続いて泉も入るが、彼は店員に連れが先に来ていることを確認すると店を見渡し、躊躇なく奥の方へと足を進める。
そこで待っていたのは。

「大山智花先輩。佐藤仁先輩」
「はーい。加奈ちゃん」「よぉ、久しぶり」

超人クラブに所属する開成南の制服を纏った二人の先輩だった。
手を上げて挨拶してくる二人に、眼をぱちくりさせ、泉は言う。

「なんで、二人ともここにいるんですか?」
「なんでって」
ふたり顔を見合わせてからクスッと笑いあうと同時に声をそろえて言った。

「アレンとは旧知の仲だから」
「へえーっ、そうなんだ……ていうか。部活は?開成南は強制なんですよね」
「2年まではね。3年は自分の判断でやめてよし。」
「あっ、そっかー。今年は受験ですものね」

それにしてもここにいる理由の説明がつかない。
重ねて尋ねるとアレンに呼ばれたからだと素直に種明かしされた。
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