第62話 謎の留学生 その4
文字数 1,701文字
本 名 アレン・ローレン・ホワイト
生年月日 1998年4月24日生まれ(16歳)
出生地 イギリス・ロンドン
国 籍 アメリカ・イギリス
家族構成 父 フランシス・ホワイト
母 エリザベス・レン・ホワイト
妹 マリア・ホワイト
ホストファミリー平塚 正治 (県職員)
「個人情報なので他言は無用ですよ」
そう言いながら、菊留先生はアレンの基本情報をホワイトボードに書き出していく。
「アレンって二重国籍なんだ」
「外国人では珍しい事ではありません。出生がアメリカだったのか。何らかの理由で取得したのかは不明ですが」
「わーっすごい、漫画の登場人物の設定みたい」
智花が興味津々で叫ぶ。
「ホームステイ先は日本人の普通のホストファミリーのようですね」
ホストファミリーとはホームステイの留学生を受け入れ、世話をする家族の事だ。
「あくまでも表向きの情報なので、これが正しいかどうかわかりませんけどね」
「アレンは俺の事ずっと見ていたって言ってた。留学生として学校に来る前から日本に滞在していたって事だよね」
「なるほど」
「智花や菊留先生の事も知っていたから4月から滞在してるってことかな」
「問題はなぜ、ミドルネームが私と同じなのか。容姿がそっくりなのかという事ですが」
「うん」
「思い当たるふしが多すぎて……」
「ええっ、何それ、怖い」
「研究所ラボ時代、臓器切除と遺伝子提供はあたりまえでしたから」
「それって、どういう意味」
遺伝子提供は解る。でも臓器切除って。
「胃や肺などを部分切除し、どれだけの期間で再生するか実験してたんです。
この実験で臓器を再生できなくて命を落とす被験者は多かったですね」
「それって、超能力と直接関係ないんじゃ」
「細胞の再生促進能力、自分の意思で臓器を完璧に再生させる事はそれ自体が超能力ですから」
「それって拒否権ないの?」
「実験動物にそんなものを認める研究所なんてありませんよ」
気まずくて沈黙する俺と智花。
「……先生って、前世はとても過酷な環境で生活してたんですね」
「過去の事ですよ。気にしていません」
先生の本心はわからない。前世の事とは言え本気で言っているのだろうか。
「私が死んだ後、ラボがどうなったのかわかりません。てっきり壊滅したと思ってたのですが。ソ連が研究を打ち切った時点で アメリカに情報が流失して超能力研究を引き継いでいるとしたらアレンがアメリカにいて、まだその研究機関とつながっているとしたら彼がここにいる理由に納得がいきますね」
「じゃあ、先生の見解では、アレンは先生 の遺伝子から作られたクローンって事?」
「おそらくは、でもそれが正しいとすれば彼の履歴はでたらめって事ですが」
「1970年米ソの冷戦時代。アメリカ政府が敵の秘密兵器を透視でスパイしようと計画しました。コードネームは「スターゲイト計画」。1995年にスターゲイト計画は打ち切りになりましたから安心してたんですが安心するにはまだ、早かったって事ですかね」
菊留先生はホワイトボードに書き込んだ文字を専用のイレーザーで消しながら言う。
「とりあえず、今日の所はおしまいにしましょう。アレンの後ろにいるのが何の組織かわからない以上、こちらから手を出すのは危険です。相手が動くのを待つしかないでしょうね」
そう結論付けると先生は部屋のカーテンを閉めにかかった。
「あっ、先生、俺、あいつにバトルを申し込まれたんだけど」
「……それはいつ?」
「眼鏡取られた時」
「ああ」
「驚いて飛びのいたからそれっきりになってる」
「そうですか……携帯は電源入れっぱなしにしておいてください。
そうすれば君をトレースできますから」
「先生って超便利だな。GPS機能付きの携帯みたい」
「冗談いってないで、さっさと帰りなさい。くれぐれも気をつけて帰るんですよ」
もう下校時間になっていた。俺と智花はカウンセリングルームを出た。
そして、否が応でも事態は勝手に動き出す。
生年月日 1998年4月24日生まれ(16歳)
出生地 イギリス・ロンドン
国 籍 アメリカ・イギリス
家族構成 父 フランシス・ホワイト
母 エリザベス・レン・ホワイト
妹 マリア・ホワイト
ホストファミリー
「個人情報なので他言は無用ですよ」
そう言いながら、菊留先生はアレンの基本情報をホワイトボードに書き出していく。
「アレンって二重国籍なんだ」
「外国人では珍しい事ではありません。出生がアメリカだったのか。何らかの理由で取得したのかは不明ですが」
「わーっすごい、漫画の登場人物の設定みたい」
智花が興味津々で叫ぶ。
「ホームステイ先は日本人の普通のホストファミリーのようですね」
ホストファミリーとはホームステイの留学生を受け入れ、世話をする家族の事だ。
「あくまでも表向きの情報なので、これが正しいかどうかわかりませんけどね」
「アレンは俺の事ずっと見ていたって言ってた。留学生として学校に来る前から日本に滞在していたって事だよね」
「なるほど」
「智花や菊留先生の事も知っていたから4月から滞在してるってことかな」
「問題はなぜ、ミドルネームが私と同じなのか。容姿がそっくりなのかという事ですが」
「うん」
「思い当たるふしが多すぎて……」
「ええっ、何それ、怖い」
「研究所ラボ時代、臓器切除と遺伝子提供はあたりまえでしたから」
「それって、どういう意味」
遺伝子提供は解る。でも臓器切除って。
「胃や肺などを部分切除し、どれだけの期間で再生するか実験してたんです。
この実験で臓器を再生できなくて命を落とす被験者は多かったですね」
「それって、超能力と直接関係ないんじゃ」
「細胞の再生促進能力、自分の意思で臓器を完璧に再生させる事はそれ自体が超能力ですから」
「それって拒否権ないの?」
「実験動物にそんなものを認める研究所なんてありませんよ」
気まずくて沈黙する俺と智花。
「……先生って、前世はとても過酷な環境で生活してたんですね」
「過去の事ですよ。気にしていません」
先生の本心はわからない。前世の事とは言え本気で言っているのだろうか。
「私が死んだ後、ラボがどうなったのかわかりません。てっきり壊滅したと思ってたのですが。ソ連が研究を打ち切った時点で アメリカに情報が流失して超能力研究を引き継いでいるとしたらアレンがアメリカにいて、まだその研究機関とつながっているとしたら彼がここにいる理由に納得がいきますね」
「じゃあ、先生の見解では、アレンは
「おそらくは、でもそれが正しいとすれば彼の履歴はでたらめって事ですが」
「1970年米ソの冷戦時代。アメリカ政府が敵の秘密兵器を透視でスパイしようと計画しました。コードネームは「スターゲイト計画」。1995年にスターゲイト計画は打ち切りになりましたから安心してたんですが安心するにはまだ、早かったって事ですかね」
菊留先生はホワイトボードに書き込んだ文字を専用のイレーザーで消しながら言う。
「とりあえず、今日の所はおしまいにしましょう。アレンの後ろにいるのが何の組織かわからない以上、こちらから手を出すのは危険です。相手が動くのを待つしかないでしょうね」
そう結論付けると先生は部屋のカーテンを閉めにかかった。
「あっ、先生、俺、あいつにバトルを申し込まれたんだけど」
「……それはいつ?」
「眼鏡取られた時」
「ああ」
「驚いて飛びのいたからそれっきりになってる」
「そうですか……携帯は電源入れっぱなしにしておいてください。
そうすれば君をトレースできますから」
「先生って超便利だな。GPS機能付きの携帯みたい」
「冗談いってないで、さっさと帰りなさい。くれぐれも気をつけて帰るんですよ」
もう下校時間になっていた。俺と智花はカウンセリングルームを出た。
そして、否が応でも事態は勝手に動き出す。