第309話 アナザー 二人の高森 その117
文字数 597文字
「やっぱり、関わりたくない」
「一ノ谷君。高校生の彼に罪はありませんよ」
「それはそうだが」
「なら、やってくれますよね」
「仕方ない。やると言ってしまったし」
「僕も一枚かんでいいですか」
「裕也君。君には関係ない事だ」
「だって、竜穴の話でしょう。僕も後学の為に拘わらせてください」
「君にはまだ無理だ」
正人に強く否定された葛城裕也は呪を唱えた。
左の手のひらに右の手で二本指を立てそのまま跳ね上げた。
「界を隔てよ!結」
途端にガラスの様に透明な箱が手の平の上に出現した。ミニチュアサイズの結界だ。
彼はそれを独楽 のようにクルクルと掌 の上で回して見せた。
「ひゅー」と正人は口笛を吹いた。
「うまいですね。このコントロールのよさ。並みの術師ではこうはいかない」
義之は惜しみない賞賛の言葉を口にした。
流石は陰陽師の家系。一度、正人の術を見ただけで自分の技にするセンスの良さは、彼が呪術の上級者であることを示している。
「ね、いいですよね。僕、足手まといにならないようにがんばりますから」
控え目に言う彼に正人は言った。
「君に教える事は何もなさそうだな」
「とんでない。まだまだ、修行中の身なんです」
笑顔で答える彼に正人は小さな疑念をいだいた。
裕也は自分の弟子になりたいわけではなく何か他に目的があるのではないのかと思った。
「一ノ谷君。高校生の彼に罪はありませんよ」
「それはそうだが」
「なら、やってくれますよね」
「仕方ない。やると言ってしまったし」
「僕も一枚かんでいいですか」
「裕也君。君には関係ない事だ」
「だって、竜穴の話でしょう。僕も後学の為に拘わらせてください」
「君にはまだ無理だ」
正人に強く否定された葛城裕也は呪を唱えた。
左の手のひらに右の手で二本指を立てそのまま跳ね上げた。
「界を隔てよ!結」
途端にガラスの様に透明な箱が手の平の上に出現した。ミニチュアサイズの結界だ。
彼はそれを
「ひゅー」と正人は口笛を吹いた。
「うまいですね。このコントロールのよさ。並みの術師ではこうはいかない」
義之は惜しみない賞賛の言葉を口にした。
流石は陰陽師の家系。一度、正人の術を見ただけで自分の技にするセンスの良さは、彼が呪術の上級者であることを示している。
「ね、いいですよね。僕、足手まといにならないようにがんばりますから」
控え目に言う彼に正人は言った。
「君に教える事は何もなさそうだな」
「とんでない。まだまだ、修行中の身なんです」
笑顔で答える彼に正人は小さな疑念をいだいた。
裕也は自分の弟子になりたいわけではなく何か他に目的があるのではないのかと思った。