第327話 アナザー 護の笑えない理由 その11

文字数 528文字

「えっと、じゃ、午後から俺が家に迎えに行きます」
「いいや、僕がいくよ。場所は知ってる」
「え、俺、先輩に言いましたっけ」
「はじめてあった日に聞いたよ」

 初めて会ったって、あの二千円札を使った日か。
 そう言えばクラブの集会で皆に家の場所を言ったっけ。
 さすが、先輩、素晴らしい記憶力だ。

「そうですか。でも、やっぱり俺が迎えにいきます」
 先輩の家を見ておきたい。家は同じ所にあるのか。同じ造りなのか。

「場所、知らないんだろ?」
「満願寺っていう大きな寺の近くですよね」
「うん。そうだけど……高森はほんとに僕の事よく知ってるんだな」
「そうですよ。知ってます」
 向こうの世界じゃ、登下校一緒だったし、最近では、塾が必要ないくらい勉強見て貰っていた。

「わかった。11時にこい」
「11時ですか?」
「うん。ちょっと話したい事も有るし、お昼ご飯一緒に食べよう」
「お昼ご飯?」

「うん。じゃ、家で待ってる。高森、また明日、お休み」
「角田先輩、お休みなさい」

 携帯を切った。
 豪華絢爛デラックスな角田家のお昼ご飯……。
 これって先輩に受け入れられたって事かな。

 やったぁ。先輩ゲットだぜ!
 そう思った瞬間、携帯がなった。
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