第120話 先生のフィアンセ その42
文字数 894文字
一口食べて「ぶっ」と仁がふいた。
せき込みながらガタッと席をたったのは菊留先生。
アレンはパスタ皿の横にあった水を一気飲みしていた。
「かっらーっ、ひかりさん……何を……!」
流し台に行って吐いている菊留先生は落ち着いてからコンロにのったままのフライパンを見て絶句した。
そこには皿にこそのっていなかったが、大量の鷹の爪が入っていた。
「……この料理って」
「そう、ペペロンチーノよ。ちょっと辛かった?」
「辛いなんてものじゃありませんよ」
とても食べられそうもない。
「だって、せっかくベランダで育てたんだもの。使ってみたいじゃない」
実験台にされた方はたまったものではない。
「ひかりさん。分量だけは守って下さいよ」
「だって、適宜ってかいてあったんだもの。わからないわよ」
「それでも、限度ってものがあるでしょう」
「あらっ、料理は実験っていうじゃない?まあ、今回は失敗だったけど」
けたけた笑うひかりに背を向け仁が小声で先生に言った。
『先生、ほんとにあの人と結婚するの?』
『そのつもりですけど』
『やっぱり、婚約壊れてた方がよかったんじゃ』
『いいえ、そんな事は……。』
そこまで言って先生は思った。もしかして、
とんでもないババを引き当てたんじゃなかろうかと。
☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*
2か月後、義之とひかりは結婚した。
披露宴の席でアレンを養子に迎える事を発表し、新居は4LDKのアパートに変わった。
藤堂はお見合いが壊れた後、アルマーレに勤めてる美咲と付き合っているという噂が流れたのはそれから三月後の事だった。
結婚後の菊留家は相変わらずの実験料理が多い。
否応なしにアレンと義之の料理の腕が上がっていったのは言うまでもない。
その後、アレンは 留学生用のビザを四年まで延長し菊留家の正式な養子になった後、二十一歳になって日本国籍を取得。
整体院を開業し、触るだけでどんな病も治すカリスマ整体師となるのだが、これはまた別な話。
ひとまず、義之とひかりの物語は大団円 で幕を閉じる事となったのであった。
せき込みながらガタッと席をたったのは菊留先生。
アレンはパスタ皿の横にあった水を一気飲みしていた。
「かっらーっ、ひかりさん……何を……!」
流し台に行って吐いている菊留先生は落ち着いてからコンロにのったままのフライパンを見て絶句した。
そこには皿にこそのっていなかったが、大量の鷹の爪が入っていた。
「……この料理って」
「そう、ペペロンチーノよ。ちょっと辛かった?」
「辛いなんてものじゃありませんよ」
とても食べられそうもない。
「だって、せっかくベランダで育てたんだもの。使ってみたいじゃない」
実験台にされた方はたまったものではない。
「ひかりさん。分量だけは守って下さいよ」
「だって、適宜ってかいてあったんだもの。わからないわよ」
「それでも、限度ってものがあるでしょう」
「あらっ、料理は実験っていうじゃない?まあ、今回は失敗だったけど」
けたけた笑うひかりに背を向け仁が小声で先生に言った。
『先生、ほんとにあの人と結婚するの?』
『そのつもりですけど』
『やっぱり、婚約壊れてた方がよかったんじゃ』
『いいえ、そんな事は……。』
そこまで言って先生は思った。もしかして、
とんでもないババを引き当てたんじゃなかろうかと。
☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*
2か月後、義之とひかりは結婚した。
披露宴の席でアレンを養子に迎える事を発表し、新居は4LDKのアパートに変わった。
藤堂はお見合いが壊れた後、アルマーレに勤めてる美咲と付き合っているという噂が流れたのはそれから三月後の事だった。
結婚後の菊留家は相変わらずの実験料理が多い。
否応なしにアレンと義之の料理の腕が上がっていったのは言うまでもない。
その後、アレンは 留学生用のビザを四年まで延長し菊留家の正式な養子になった後、二十一歳になって日本国籍を取得。
整体院を開業し、触るだけでどんな病も治すカリスマ整体師となるのだが、これはまた別な話。
ひとまず、義之とひかりの物語は